第15話 カスミ先生、協力者を探す (カスミ視点)
城に戻り、宛がわれた自室へと帰り着くとあらためてステータスを確認する。
名前 霧野(キリノ) 香澄(カスミ)
適性 空手家
Level 1
体力 856023
力 883015
速度 967101
魔力 9999999^99999010
魔力適性 無色
スキル 言語理解 空間転移 往年の力
よく見るとスキル欄にはESPがらみの表記はないが、サイコキネシスもレビテーションも問題なく使えている。
そうしてもう一つ、空間転移というスキル。
このスキルに意識を集中する。
空間転移:いままで行ったことがある場所へ転移できる。空間は超えられるが時間は超えられない。
文字通り、空間を自由に移動できるスキルらしい。
そういえば、大親友も、テレポーテーションで他の星系まで移動していたが、あれと同じような能力だろうか。
「あれ、もしかしたらこの力で帰れるんじゃない?」
私は思わずつぶやいた。
行ったことがあれば、時間は超えられないけど空間は超えられる。
それはもしかして異世界の空間でも可能なのでは……
この予想があたっていれば問題は一気に解決である。
生徒たちをつれて空間転移すればいい。
私は早速実験してみることにした。
スキルに意識を集中して、日本のアパートの自室をイメージする。
「空間転移」
私は一瞬白い光に包まれ、自室のベッドの前に立っていた。
成功である。
やったと喜んだのもつかの間、なんだか寒い。
ふとベッドの横の姿見の鏡に目をやると、そこには一糸まとわぬすっぽんぽんの私が映っていた。
どうやら空間転移は自分自身しか転移できないらしい。
何にしても、ラッキーだった。転移先に自室をイメージした私自身を褒めてあげたい。
これがもし、いくら夜とは言え、学校の職員室などに転移していれば、残業している同僚の前にこのあられもない姿で出現していたことになる。
ましてや、行きつけのスーパーマーケットなどだったら、間違いなく通報されていただろう。
それはさておき……
さて、どうしよう。
衣服すら一緒に転移できなかった。
自分自身しか転移できないと言うことは……
これでは生徒と一緒に帰還することはできない。
こんなときは誰かに相談だ。
しかしながら、異世界やら、魔法やら、現代日本では狂人扱いされること請け合いの事象である。
この状況を相談して、きちんと理解してくれ、協力してくれる人。
そんな人は普通はいない。
しかし、私には一人だけ心当たりがある。
大親友の宮川藍音ちゃんだ。
かつて一緒に未来世界で戦った藍音ちゃんとは、現時間にもどってからも親友でありライバルである。
早速電話しようと思い、問題にぶち当たった。
スマホを持っていないのだ。
授業中は職員室においており、異世界に忘れたわけではないのは救いだが、今から学校に行って取り出すのは大変だ。
第一、授業中に消えた私たちの件で大騒ぎになってしまっているかも知れない。
どうしよう……
しばし考えて思い至る。
そうだ、パソコンだ。
私はデスクのノートパソコンの電源を入れる。
まず、ネットニュースを確認すると、予想通り、私たちの学校がトップニュースに入っており、立ち入り禁止規制のプラスチックテープが張り巡らされた校門の写真が掲載されている。
慌てて職員室に突撃しなくてよかった。
間違いなく警察につかまり事情聴取される。
私はwebメールを起動し、早速、藍音ちゃんのスマホへメールを送る。
件名 緊急事態!
本文 藍音ちゃん、すぐに来て。 自室にて待つ! by香澄
送信ボタンを押す。
「何事なのよ、カスミちゃん」
10秒後、私の自室に藍音ちゃんがテレポートアウトしてきた。
【次話はいよいよアイネ登場! 本日中に投稿したいと思います。しばらくお待ちください。】
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