第3話 自己分析(トキヒロ視点)


 王の謁見が終わると、俺たちは兵士用の宿舎に各自部屋を割り当てられ、翌日から訓練することになった。

 一人一人に監視がついているということはないが、建物の出入り口は前後に2つしかなく、そこには衛兵がったっているので自由に出入りはできない。

 部屋も3階よりも上で、窓から飛び降りるのは命がけだ。

 最も、俺が召喚前の力を失っていないのならば、簡単に抜け出すことはできる。


 クルドニウスの話では、自分のステータスは意識することで脳内表示できるということだったので、窮屈なベッドの中でやることもなかった俺は改めて自分のステータスを確認する。

「ステータス」

 声に出す必要はないのだが、慣れないうちは発声した方がイメージしやすい。

 これは召喚前の魔法でも言えることだった。


 名前 霞寺(カスミジ) 時祐(トキヒロ) ジェフリー・ミスト

 適性 演者(そのとき意識した職業を完全に演じることができる)

 Level 1

 体力 12003

 力   8003

 速度 11002

 魔力 56001

 魔力適性 無色(全ての色彩が融合した色)

 スキル 言語理解(全ての言語を理解し、こちらの言語を相手に理解させる)

     複写(一度見たり体験したりしたスキルを複写することができる)

     収納(亜空間連続体に任意の物体を収納できる。亜空間連続体は全ての時間軸につながっているため、何年後だろうが入れた直後の状態で取り出せる)

 

「んっ?

 何かすごいことになってる」


 鑑定の宝玉では表示されなかった情報まで詳しく表示されている。


 ステータスは宝玉の表示限界3桁を突破したため下3桁のみ表示されていたようだ。

魔法はやはり全属性が使えるため無色となったようだ。

 適正職業とスキルもとんでもない壊れっぷりだ。

 流石に、魔王と討伐した実績は侮れないと言うことだろう……


 それから特筆すべきは複写。

 これは無敵なんじゃなかろうか。

 早速スキル複写を発動してみると脳内にメッセージが表示される。

『過去に見たスキルを複写しますか。 YES・NO 』

 YESを心の中で選択する。

『どれを複写しますか。

 鑑定・ヒーラー・回復・再生・成長・魔法剣・身体強化・力強化・魔力強化・速度強化・レベルアップ促進・限界突破・限界解放・偽装・隠蔽・偽装・浮遊・念動・空間転移・……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ブレス(火)・ブレス(氷)・ブレス(雷)・ブレス(風)・ブレス(土)・ブレス(光)・ブレス(毒)・ブレス(回復)』


 何かすごい数がある。

 今日のステータス鑑定時に他の召喚者が持っていたスキルはもちろん、召喚前に俺が見たことがある特殊技能が全て含まれている。

 特に最後のやつ。

 ブレスはどう考えても魔王がペットにしていた頭が8つあるドラゴンの使っていた奴だ。


 俺はとりあえず気になっていた『成長』を選択してみる。 

 あの小柄な眼鏡っ娘が持っていたスキルだ。

『成長:経験に応じて全てが成長し、成長に伴いスキルも取得する

現在の魔力最大量での複写上限は5つです。

 これでよいですか?  YES・NO 』


 やはりこの『成長』もかなりの壊れスキルのようだ。

 それに複写には上限があるようだ。

 複写できるスキルの数は魔力の最大量と関係があるらしい。


俺はYESを選択する。


『成長を複写しました。

 現在の最大魔力量での複写はあと4つ可能です。

 続けて複写しますか?  YES・NO 』


 俺はYESを選択する。

『どれを複写しますか。

 鑑定・ヒーラー・回復・再生・成長(複写中)・魔法剣・身体強化・力強化・魔力強化・速度強化・レベルアップ促進・限界突破・限界解放・偽装・隠蔽・偽装・浮遊・念動・空間転移・……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ブレス(火)・ブレス(氷)・ブレス(雷)・ブレス(風)・ブレス(土)・ブレス(光)・ブレス(毒)・ブレス(回復)』


 次は『鑑定』を選択してみた。

『鑑定:対象の状態やステータス、価値を鑑定することができる。

    最大魔力量に応じて鑑定できる内容が増える。

現在の魔力最大量での複写上限は5つです。

  これでよいですか?  YES・NO 』


俺はYESを選択する。

 するとさっきは現れなかったメッセージが現れる

『上書きしますか新規取得しますか? 上書き・新規』


新規を選択する。


『鑑定を複写しました。

 現在の最大魔力量での複写はあと3つ可能です。

 続けて複写しますか?  YES・NO 』


 続けて隠蔽を選択し鑑定に上書きしてみた。

 結果、鑑定はなくなり隠蔽が追加される。


『鑑定を解除しました。

 隠蔽を複写しました。

 現在の最大魔力量での複写はあと3つ可能です。

 続けて複写しますか?  YES・NO 』


 その後、一旦解除した鑑定を再び複写した。


これは便利だ。

 最大値はあるが、それは同時に使うことができるスキルの最大値で入れ替え可能ということだ。

 状況に応じて組み合わせを変えることができる。


 俺は悩んだ末、空間転移と偽装を追加したあと自分のステータスを確認する。


 名前 霞寺(カスミジ) 時祐(トキヒロ) ジェフリー・ミスト

 適性 演者(そのとき意識した職業を完全に演じることができる)

 Level 1

 体力 12003

 力   8003

 速度 11002

 魔力 56001

 魔力適性 無色(全ての色彩が融合した色)

 スキル 言語理解(全ての言語を理解し、こちらの言語を相手に理解させる)

     複写(一度見たり体験したりしたスキルを複写することができる)

     収納(亜空間連続体に任意の物体を収納できる。亜空間連続体は全ての時間軸につながっているため、何年後だろうが入れた直後の状態で取り出せる。収納数はレベルに依存する)

     成長(複写中:経験に応じて全てが成長し、成長に伴いスキルも取得する)

     鑑定(複写中;対象の状態、価値、ステータスを調べる)

     空間転移(複写中:魔力に応じて過去にいったことがある場所へ転移できる。) 偽装(複写中;事実と違う姿、ステータスを表示する。)

     隠蔽(複写中:姿、ステータスなどを隠す。)


 早速、偽装と隠蔽でステータスを書き換える。


 名前 霞寺(カスミジ) 時祐(トキヒロ) ジェフリー・ミスト

 適性 演者

 Level 1

 体力 3

 力  3

 速度 2

 魔力 1

 魔力適性 無色

 スキル 言語理解

     複写

     収納


 ステータス測定時のステータスを表示する。

 それにしてもラッキーだった。ステータスの十の位と百の位がたまたま0表示だったので、表示限界突破中だと誰にも思われなかった。

 職業も何故か召喚前の魔法剣士ではなく演者となっていた。

 直前の質問で、とっさに演劇部のコスプレといったのが幸いしたのだろうか。


 何にしてもこれで万一の時は空間転移でトンズラだ。

 現状でやれることは全てやった俺は、この晩、枕を高くして眠ることができた。





【次話は明日の朝7時に更新予定】

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