第3話高い高いと母さんの怒り

いやぁ、しかしこいつ、俺の親だったのか。こんなイケメンが親なのは、ちょっとなぁ。この先俺はずっとこのイケメンに嫉妬し続けることになるだろう。前世のおれは、悪くもなければ良くもない、いわゆるモブ顔だったからな。この先が思いやられるよ。


ん?前世?


ということは、今世では期待できるのではないか?母さんは知らないけど親父はイケメンだし、遺伝的に俺もそうなる確率が高いよな。あれ、これ、ほぼ勝ち確じゃないか?おぉ、俺、このイケメンの子供で良かったって始めて思えたよ。まぁ、生まれてからたぶんそこまで時間が経ってないだろうけどね。


ん?なんか、イケメンがはしゃいでるぞ。どうしたのか?ついに狂ったか?なんて、失礼なことを考えられたら急に浮遊感を味わった。どうやら、このイケメンに高い高いされているみたいだ。そうか、こいつは俺の親なのか。よし、今度からはしっかり、父さんと呼んでやろう。そう思い、父さんの期待に応えてやろうと赤ちゃんらしく笑ってあげたら、とてもうれしそうに高い高いのレベルを上げていった。


最初は少し、上に投げるぐらいだから良かったのだが、俺がずっと笑っていたから調子に乗ったのか、途中から天井すれすれのところまで投げだした。いや、怖いって。少しでも力加減を間違えたり、キャッチミスをした瞬間に楽しい高い高いが、恐怖の他界他界になるんだぞ。


でも、さすが王国名誉騎士といったところか。体全身を使って落下の勢いを完全に殺しつつ、危なげなく俺をキャッチしては、また天井すれすれまで、投げている。ここまで安定感があると、なんか面白くなってきたな。前世の俺はジェットコースターとか、バンジー等の絶叫系が大好物だったのだ。これはいわば短め遅めの紐なしバンジー、そう考えるとこれ、かなり面白いぞ。


と思ったのもつかの間。ガチャ、と急にドアが開く音が聞こえた。そこから入ってきたのは紺色のロングヘアに、蒼眼のクールビューティという言葉が良く似合う美人だった。父さんはそれに気づかず、気持ち悪い笑みを浮かべたまま俺に恐怖の他界他界を続けている。美人さんはというと、それを見て真っ青な顔をして震えている。そういえば、この人は誰なのだろうか?


ということで、鑑定発動!


名:フルース・アリステア 種族:人間 性:女 年:30

レベル:58

体力:563/563 魔力:23748/23748 力:120 敏捷:125 知力1253

スキル

水魔法10 氷魔法10 治癒魔法8 風魔法7 魔力感知8 詠唱短縮9

上位スキル

氷結魔法9

称号

元アイリス王国宮廷魔術師 氷結の魔女


あ、俺のお母さんだった。にしても、かなり強いな、魔力なんて20000オーバーだし、元宮廷魔術師なんて凄くないか?でもまだ現役でも十分働けるだろ?何で辞めたんだ?まぁ、今はそんなことどうでもいいか。そして、母さんはといえば、真っ青な顔から真っ赤な顔になり、また震えだした。どうやら、怒っているようだった。父さんはまだ気づかずに俺を他界他界している。


「%#$&%$%&%!!」


うん、なんて言ってるのかはわからないけど怒っているのはわかる。今の母さんの顔、めっちゃ怖いわ。父さんはやっと気づいたようで、かくかくしながら母さんのほうを見る。あ、どんどん父さんの顔が青くなってきた。なんか、青通り越して白くなってきたぞ。大丈夫か?


「%、%&%$#%&%$」


うわぁ、言葉はわからんけどなんとなく内容が察せるわ~声震えてるし、必死に言い訳してる感じだなこれ。まあ、母さんは聞く耳を持たないようだが。

この後、俺は母さんによってベットに戻されたわけだが、隣の部屋から母さんの怒鳴り声と父さんの悲鳴が聞こえたのは、言うまでもないだろう。

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