297.湯之沢城防衛戦4

 

 「ネプチューン4(海軍特殊部隊チーム4コードネーム)、ミスティア1、火力支援を要請する」

 「ミスティア1、ネプチューン4、了解、火力支援を確認しました」

 「座標は……」

 

 野戦電話で海軍特殊部隊チーム4は迫撃砲陣地にいるミスティア隊に正確な情報を伝え、砲弾が飛んでくるのを待つ。


 ボンッ!ボンッ!ボンッ!


 「来るぞ……」


 火力支援要請を受けたミスティア隊はすぐに射撃を開始したようで、まるで花火が打ちあがったかのような破裂音が聞こえてくる。

 

 ドン!ドン!ドカンッ!


 音が聞こえてから数秒後、目の前にいた帝国兵の集団に激しい閃光と共に爆発が襲う。

 最初の三連射を放った後、さらにミスティア隊は迫撃砲を連射し帝国兵の頭上に次々と砲弾の雨を降らせる。


 「どうだ?やったか?」


 ミスティア隊の爆発が収まると、エルノイド大佐は暗視装置で彼らのいた場所を確認する。

 爆発地点を見ると確かに敵歩兵の死体が転がっていたが、肝心のゴーレムは今だ健在だった。

 どうやら81㎜迫撃砲弾が数発あたった程度では耐えられるようだ。


「しぶといな……、ミスティア隊に「命中弾多数、射撃継続を求める」と伝えろ」

「了解……、エルノイド大佐野戦電話がつながりません」

「なんだと?もう一度やり直してみろ!」


通信兵は言われた通りかけなおしてみるが、むなしく雑音が聞こえてくるだけだった。


 「クソッ!どこかで電話線が切られたか?それとも迫撃砲陣地が襲われたか?」

 「大佐、もしかしたら門への攻撃は陽動の可能性があります!」


 「なんて頭の切れるやつだ!すぐに伝令を向かわせろ!」

 「大佐!生き残りの敵がこちらに向かってきます!」

 「こんな時に!撃ちまくれ!ここを絶対通らせるな!それと、誰か迫撃砲陣地の状況を確認して来い!」


 「「「了解!!」」」


 エルノイド大佐の号令によって屋上や塀のところどころある狭間(さま)と呼ばれる銃口を外に覗かせることのできる場所からM240Bによる射撃を開始。

 対する先ほどの砲撃を生き残った帝国兵達はゴーレムをうまく盾にして城に向かって勇猛果敢に突撃を敢行。


 敵もやられてばかりではなく、ファイアと呼ばれる火属性魔法によっての攻撃や最近帝国兵に徐々に装備されてきた魔石を使った火縄銃のようなものを発砲してくる。


 「エルノイド大佐!ゴーレム硬すぎます!」

 「クソッ!化け物め!いや化け物か、奴に一発お見舞いしてやれ!」

 「了解!」

 

 するとある兵士は櫓の部屋の片隅に置いてあった筒状のものを運んできた。

 それはカールグスタフM4と呼ばれる無反動砲だ。

 

 「そいつを撃ってこい!」

 「了解!援護頼みます!」

 

 カールグスタフM4を担いだ兵士とその兵に随伴する数名の兵士はあわただしく櫓から降りていく。

 

 「援護射撃!敵に頭を上げさせるな!!」

 先ほどの兵士たちが降りて外に出るタイミングを見計らって、援護射撃の号令を出す。


 「弾種徹甲!」

 「装填!」

 「装填よし!」

 「照準よし!安全装置解除!発射用意よし」

 「後方よし!てっ!」


 バンッ!


 大きな破裂音と共に撃ちだされた砲弾はゴーレムの胸部目掛けてまっすぐ飛んでいく。

 

 ドン!


 砲弾はゴーレムに見事命中し、ゴーレムの胴体があった場所は吹き飛び、今は足しかその場には残っていなかった。

 

 「命中!次弾装填!」

 「てっ!」


 続けてまだ近くにいるゴーレムに向けて発射していく。

 無防備なゴーレムはその砲撃を喰らってその巨体は跡形もなく吹き飛ばされていた。

 それを見た帝国兵は完全に浮足立ち中には逃げ出すものもいた。


 「大佐!全てのゴーレムの撃破を確認!」

 「よし!よくやった」


 それを見た兵士たちは歓声を上げていた。


 「残った敵を全て片付けてミスティア隊の応援に行くぞ!」

 「「「了解」」」




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