196.アルダート駅



 ガンダルシア駅から出て2時間42分後にアルダート駅に着いた。


 この上北本線の列車種別は直通運転を含め全部で8種類ある。


 ハミルトン以北の運転系統では「普通」と「快速」

 ハミルトン以南では「特急」「特別快速(特快)」「各駅停車」

 ガレア~キーレまでの直通運転している上北南海ラインには「特別快速(特快)」「快速」「普通」

 

 そして今ガンダルシア駅から乗ってきたのは「特別快速ハミルトン発アルダート駅行」だ。


 アルダート駅に着いた列車は22番線に入線し、しばらくたった後折り返しハミルトン行になるようだ。

 ホームに降り立つと眼前にはガンダルシア駅よりもさらに大きい24面48線(参考:東京駅在来線ホーム9面18線 ニューヨークにあるグランドセントラル駅は44面67線)の在来線ホーム(各ホームのホーム有効長550m、ホーム幅36m、全ホームにホームドア完備)が広がっていた。


 さらに、アルダート駅は今後もホームの増設や拡張工事を行えるように用地を広く用意してあり、最大で50面100線まで作ることができるようになっている。


 「なんて、広い駅なの……」

 「ちょっとやりすぎたかな……」


 降り立った直後、広がる巨大な駅を見て思わず立ち止まりしばらくそのホームを眺めていた。

 これを見たワタが口から漏らした「やりすぎた」とは、このアルダート駅はワタ自身がLiSMの機能で作ったのだが、その時に元居た世界の巨大なターミナル駅をさらに超える超巨大な駅を造ろうとした結果。ここまで大きくなると思っていなかったからだ。


 さらに駅をここまで広くした要因として挙げられるのが、乗り入れている路線の多さにもある。

 というのもワタが単純にたくさんの路線、電車を王国の中心駅に集合させたかったからだ。


(こういう駅を無理やりでも造ってみたかったのです……)


 「ワタがいた世界にはこんな大きな駅がいっぱいあったのよね?」

 「いや、こんなに大きくはないよ……、でも元居た世界の数ある国の中でトップクラスの駅がゴロゴロとあるんだよ!」


 「そうなのだ、細かい作業は人がやったとしてもそれ以外の線路と高架なんかを一気に作れるLiSMってすごいわね……、ここまでなるとは想像できなかったわ」


 「自分でも驚いたよこれは……、ただこれはLiSMで大まかなものを作っただけだから、これからこれを動かしていく人達や管理していく人たちができないと意味ないけどね。ここからも仕事が山積みだ」


 「そうね、でもワタと私にかかればうまくいくわ!」


 「頼りにしているよメリア」


 ワタはメリアの肩を抱き寄せ正面からキスをしていた。


 「んんッ!お楽しみのところ失礼ですが、他にも回る場所があるのでそろそろ移動しませんか?コンダート国有鉄道総裁とアルダート駅長もいらしてますし……」


 ホームについてから動かない二人に対して、まだかまだかと苛立ちながら見ていたミセア大佐はしびれを切らして、次の視察場所への移動を促した。

 ミセア大佐の真後ろには、そんな二人の光景に対して何もできずに動けずに待機している人たちがいた。


 「さぁ、アネッサ駅長、テーシャ総裁、早速ご案内お願いします」


 「はい、かしこまりました、では私アルダート駅長のアネッサがご案内させていただきますね?とその前に自己紹介からさせていただきます、私の左お隣から……」


 ミセア大佐の後ろで待機していた、女性駅長のアネッサは今まで緊張と混乱で顔がこわばっていたが、声を掛けられると彼女の元々の性格なのだろう、まぶしさを覚えるような笑顔をこちらに向けてきていた。

 アネッサは元の世界でいえばアイドルのように可愛らしくスタイルも整った娘だ。

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