108.報告


 それはさておき、ミハエルの話の中で最も驚いたのは、敵には艦載機もどきとその母艦もどきのようなものが運用されているとのことだった、しかも詳しく聞いたところ、その竜騎兵は本体である小型の竜がブレス攻撃(炎)を約2㎞先から撃ち、その騎手は爆弾や火炎瓶などを投下するようだ、それが数騎なら大和と武蔵でも苦もなく対応できるだろうが、120騎が一気に来られたら損害が出てくるかもしれない、そこで俺は少し早いがアレを出してみようと思った。


 というのも、しばらくは木造船相手の対艦戦闘を想定していたので、大和型戦艦や長門・金剛型戦艦で事足りるかと思っていたので手をださないようにしていたものがあった。

 しかし、今回の話を聞く限り今後はその数ももっと増えると思うので対空戦闘のことを考えて“イージス艦”と“正規空母”を召喚することにした。

 この召喚によって空母機動艦隊を編成することができる、そうすれば制海権は確実なものになるはずだ。

 細かいところは後でミサやほかの海軍関係者を集めて話すことにしようと思う。


 

 次にメリアからは王国陸軍の戦線についてだった。

 北部の戦線はあれ以降一切こちらに攻めてくることがなくなったので他の戦線への兵員供給を行っているようだ。

 しかし、依然として東部方面や西部方面では帝国による激しい攻撃にさらされていて、北部と南部の兵員の応援を受けてやっと持ちこたえているような状態が続いている。

 特に東部では竜騎兵や魔導戦艦の進撃が著しく、こちらの対応も早急に行わないと海戦をしている間にすぐに王都近くまで敵の侵攻を許してしまう。


 これについては俺も手をこまねいているわけではなくしっかりと“案”がある。

 その第一弾として、海上の艦艇からの対空ミサイルと対地ミサイルによる攻撃と艦載機による一部戦線上空の支援にあたらせるつもりだ、そうすれば相手も脅威を感じ少しはここで引くか落ち着くはずだ。そして直接的に航空戦力を送り込むためにどこか適当に場所を探して空軍基地を作りそこから戦闘機を多数出撃させてことの鎮静化を図りたいと思っている。


 最後にローザからはイスフェシア王国についての情報があった。

 その情報というのもミハエルが言っていた情報と被るものが多かったが、その中でも驚いたのは転移してきたのは二人いて、内一人はイスフェシア王国の“偽”女王として、もう一人は何かしらの能力を得ているとのことだった。

 なぜそこまで情報を持っているのかというと、エンペリア王国の情報収集能力がたけているからである。

 エンペリア王国には敵国に潜入し活動する部隊が存在し、その高度な能力をもった集団によってこれらの芸当が可能になっているようだ。

 そしてこれまでで一番衝撃的で、今までの話を全て俺の頭から消し去るような一言をローザは放った。


 「私と今すぐ結婚してください!!」

 「お、おう……ってちょっと待て!何を言い出すかと思えば!」

 「そうよ!ワタにはこの美しきも気高きメリアってよm……」

 「うるさい!そんなこと関係ないわ!もうお母さまにも言ってきてあるんだからね!」

 「「なに(さ)よ!」」

 

 さっきも同じ光景を見たような気がするが、二人はまるで犬のように唸りながらお互いを威嚇しあっているようだ。


 「はい!二人ともそこまで!残念だけど今俺は決めきれないし、国自体そういう状況じゃないからそれは戦争が終わってから決めさせてもらうよ、それでいいよね?ね?」

 「「いいわ!でも絶対よ!」」

 

 この突拍子もない発言によってまた違う悩みの種が増えてしまった俺であった。


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