109.空母とイージス艦

 

 体調が回復し退院してから数日後、俺は再び海軍司令部にある大臣執務室にいた。


 前回はヴィアラとミサの二人だけだったが、今回は海軍参謀総長のアルバ・リザや作戦本部長のジェミナ・フラウもいる、なぜ前回いなかった二人がここにいるのかという理由は、帝国海軍の攻勢があのキーレでの海戦以降弱まり、各方面に少し余裕が見えてきたのでようやく本部に戻ってこられたからである。そしてそれに加えてゲーテルト・ミハエル少将とスタルブ・ベイル准将もこの場にいた。


「今回皆を集めたのは他でもない、そこにいる今はこちら側の所属になったゲーテルト・ミハエル少将による情報を聞いて、新たな召喚と編成そして作戦内容が決まったためだ。そして今回召喚するのは“航空母艦”という艦で、通称空母と呼ばれるものだ。この“空母”というのは大和と違い真っ平らな甲板を持っていて、その甲板から“艦載機”と呼ばれる人が乗れる空飛ぶ兵器を飛ばす。それによって航空戦力を得られる。帝国でいうところの竜騎兵を積んだ船といった方がわかりやすいかな?」


「その“艦載機”はどのようにして攻撃するのですか?どうやって飛んでいるのですか?そしてその“空母”というのは“艦載機”を運ぶことしかできないのですか?動力はどのようになってますか?」

 流石は元帝国軍の情報をつかさどっていた人なだけあって、ミハエルは的確な質問をしてくる。


「いい質問だ、ミハエル君?と呼んでいいかな?」

「はい!かまいません。私が言うのも恐縮ではありますが、陛下の考えの素晴らしさと明確な未来が見えたような気がしたので、これからは裏切ることをせず、誠心誠意陛下にお仕えしたく存じます」


(ありがたいけど、今ものすごいプレッシャーをかけてきたよね……、しかも、何かすごくキラキラした目を向けてくるのは気のせい?見られすぎてコワイです……、さらに質問攻めとは……)


 何故かミハエルは、この会議室に入ってきてからまるで誕生日プレゼントを待つ少年のようにうれしそうな顔をしていて、話が始まったときには体が前のめりにして食い入るように話を聞いていた、今でもミハエルは俺に熱い視線を向けてきている。


「気持ちはすごく伝わってくるよ、ありがとう。それはさて置き質問にあった“艦載機”の話だが、これについて説明するとき今後は簡単に“機体”と呼称する。この機体の兵装は大雑把に分けると攻撃用と防御用の二種類がある。攻撃用はまず一つに“ミサイル”というものがあって敵を照準したのち、種類にもよって多少違うが、超高速で飛翔して敵を追尾したのち手前かもしくは激突したのち爆発する兵器だ。二つ目は、すでにハミルトン防衛戦でも使っていたバルカン砲と呼ばれるもので、こちらのはハミルトンで使っていたものより大型の物だ。あとこれはまっすぐ飛ぶだけなので狙って撃つものだ、防御用について話したいところだが今回の作戦で使うことはないだろうから割愛させてもらう」


「そしてどうやって飛んでいるのかという質問に対してだが、簡単に説明すると圧縮した空気を燃やして高圧力で後方に勢いよく飛ばし、その推進力によって飛んでいる、このような構造で飛んでいく機体のことをジェット戦闘機と呼んでいる。そして速さはこれから召喚するほとんどのものが音の速さを軽く超えるものだ(マッハ1は海面上で時速約1,225㎞、高度1万mで1,050㎞)、それ以外のコントロールの仕方は後程細かく説明することにする」


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