34.国王に成り上がり?
「「「「失礼します!!」」」」
扉が開いたのと同時に、昨日顔合わせしたメイド達が朝食を運んできてくれたのか、キッチンカートに料理をのせてやってきた。
「おはようございます。ワタ国王陛下ならびにメリア女王陛下、朝食をお持ちしましたのでお召し上がり下さいませ」
とメイド長のエミリアが恭しく頭を下げて来る。
“国王陛下”なんて急にいわれるとなんだか恥ずかしい
このエミリアはメリアが女王に即位した直後に設立された“武装メイド隊”の隊長も務めている。
エミリアとともに働く周りの娘たちも美女や美少女だが、その中でもエミリアは際立っている、というのも透き通った絹のような白く肩まで伸びた髪を後ろにまとめ前髪を金色の髪留めで止めている、胸は程よく大きく、足はモデルのようにすらっとしている。
そんな風にエミリアのことを見ていると横から視線を感じたが気のせいだ……よね?
「あ、ありがとうございます。美味しく頂きます」
「お口にあえば幸いです。私達は退室させて頂きます、ごゆっくりどうぞ」
隣ではメリアが不機嫌そうに頬を膨らませながらこちらを見てきているが気にしない。
朝食の内容は、焼き菓子のような見た目で中がふわふわしている甘くないメロンパンのような物とコーンポタージュのようなスープにりんごジュースのような飲み物が出てきた、この国の朝は大体、庶民も貴族もこんな感じの朝食を取っているようだ。
食べているうちに俺はとある事を思いだし涙が頬を伝う。
「どうしたの?」
「ちょっと過去を思い出して、朝にこんなゆっくり食べるなんて久しぶりでさ……」
過去の俺はいつも朝飯抜きでの仕事が多かった、その分の時間を睡眠に当てていたからだ。
「しかも、こういうふうな朝食は初めてだったからさ、嬉しいよ」
「こちらこそ喜んでもらったようで嬉しいわ。でもね、私も今までたまに妹たちととることもあったけど、最近はほとんど一人で朝食をとってきていたから今日みたいな朝食は新鮮よ」
「そうだったんだ、悪かった、変なことを言ってしまったせいでせっかくの朝食を台無しにしてしまったね」
「ううんいいの、それはそうと昨日は振り回してしまったけど、今日もそんな感じになるかもしれないから頑張ってね」
「できる限り頑張るよ」
これから俺はかなり強引ではあるが、この国の正当な国家元首がいない現状、明日を境にこの国の“国王”になる。
(一気に上にのし上がりすぎだと思うよ、ほんとに……)
しかし、男性の前線最上級指揮官がいない状況でもあるので、同時に国軍の最高指揮官とともに実働部隊の指揮官も務める。もちろん前線に出るので戦闘行為にも参加する。
現代戦であれば前代未聞だが、そうも言っていられない状況にあるのがこの王国の現状だ。
ゆくゆくは俺が後方で安全な位置で戦いを指揮できるようにしていきたい。
多きなリスクと責任が一気にのしかかって来るが、今こんな状態なら仕方がない……。
(やりますよ!やればいいんでしょ?やれば?ええやりますよ!)
とにもかくにも、この後の閣僚との面会に応じなくては……。
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