22.エルベ村防衛作戦
先程まで村長に対して失礼な視線を向け、さらには茫然自失になっていたワタだが、意識が戻った後にリザードマンが村長の娘さんを攫って行ったということを聞いて自然と怒りをおぼえた。
というのも、農地の作物を荒らしそれでは済まず村を襲い、挙句の果てに最後まで村の為に戦っていたその娘さんを攫って行ったからだ、しかも今何をされているかも生きているのかもわからない……
何か手掛かりがないかと村の衛兵たちに聞いたところ、リザードマンが向かっていった森の方角には偵察に行ったが、そこからどこに行ったかまでは分からないそうだ。
見張り役の人に聞くと、森の方からこちらの様子を窺っているリザードマンの存在を確認しているので、おそらくまたこの村を襲ってくるかも知れないとのことだった。
そのことを踏まえ、急きょ村長とベルで作戦会議みたいなものを開くことにした。
「さっき、門からこの屋敷までを通る生活道路を見た後に、村の中も見てきたが特に生活道路周辺だけ被害があったようだな」
「それと、村の人たちに聞き込みを行ったところ金銭や物の被害はなかったようです、こうもなると何が目的だったのかが判然としませんね」
「ベルちゃんとワタ君が言う通り、村の中心通りのバリケードや家屋の一部以外、特に被害はないみたいね。ただ、農場に関してはかなりの被害が出ているから、食料狙いの犯行だとは思うのだけれどね……。それでも、私の娘が攫われる理由が解らないのよね……」
「そういえば、娘さんの名前はなんて言うんですか?」
「キューレよ。本人はあまり気にいってなかったようだけれどね……。ハー、なんであの子を……」
「そうですか……。一刻も早く娘さんを救えるようにしますね」
「それはそうと、見張り番は今日もまたこの後リザードマンが来るみたいなことを言っていたから、その対策が先だな……。俺の案としては、土嚢を胸の高さぐらいまで積み上げたものを村の中央通りの中心ぐらいに設置して、門からこの防衛陣地の間に罠なんかをしかけたらどうだ?」
「ワタ様、お言葉ですがそんなものではリザードマンどもを殲滅することは不可能ですよ!ここは守るのではなく全戦力を持って突撃あるのみですッ!――イタっ!」
「この脳筋!そんなことをしたら、たとえ勝てたとしても貴重な戦力が減るだけだろ?しかもそこでベルが死んじまったら目も当てられないだろ!」
「まぁまぁ二人とも、とりあえずベルちゃんの案はワタ君の言う通り、多く危険を伴うから残念だけど却下ね。ただ、ワタ君の言う防衛陣地を村の門ではなく村の中心に設置するのはなぜなの?途中に罠を置くのはわかるのだけれど、村の中心から門まで結構な距離があるわよ?弓での攻撃はかなりの腕前でないと当たらないわね、牽制にはなるけど、その口ぶりだと何か良い案があるようだけど?」
「よく聞いてくださいました!奥様! 私の案というのはですね……」
「なぜです!村長この私の案が素晴らしいですよね!ワタ様は後ろで見守っていただきそのあと止めを華麗に決めて頂こうという算段だったはずなのに!」
「しーずーかーにー!まだ、話の途中だろ!ちょっと落ち着けって!失礼、話を戻しますとですね、私はこの物品を召喚できる端末によって“マシンガン”なる武器を召喚し、その“マシンガン”によって敵を一掃してご覧にいれようというものです」
「その“ましんがん”と言うのはどんなものなの?」
「言葉だけで説明するのは難しいので実際に召喚してみますか……」
召喚された時に所持していた端末を取りだし小火器の分類のなかから機関銃の欄を開いた。
するとそこには見覚えのあるような機関銃の名前が出てきた、そこから俺はとあるものを選びそれを召喚した。
今回召喚したものは"FN MAG"と呼ばれる汎用機関銃でアメリカ軍ではM240として使われており、使用弾薬は7.62×51mmNATO弾で、この機関銃はベルト給弾式という弾が帯状になったものを使用し、発射速度は毎分約850発と高速で発射することが可能。
銃身が真っ赤になるほど撃ち続けたとしても発射可能で、その過熱した銃身は銃身自体についているハンドルを素手持ち簡単に取り外すことができる構造になっている。
そして、この銃は配備から約40年たっても使用されるほどの信頼性を持った銃である。
なぜこの銃を選んだのか?
それはこの機関銃の使用弾薬の7.62×51mmNATO弾が今俺が持っているSIG 716の使用弾薬と一緒だからだ。こうすることによって補給面で有利に働くからだ。
とはいえ本当は召喚すればいつでも補給できるのだが、召喚する暇もないときや突然召喚できなくなった時の備えとして、念のため補給面のことも考えた。
また、この銃や他の汎用機関銃は二脚を使用すると軽機関銃のように運用でき、三脚を使用すると重機関銃のように運用できるので、今後の状況に合わせて使い分けることもできると思ったからだ。
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