23.エルベ村防衛作戦2


「何なの!?この鉄の棒みたいな塊は!こんなのでどうやって戦うつもりなのよ!こんな鉄の棒を出して馬鹿にするつもり?」


 フレイアは召喚物を見た瞬間。目の前に得体も知れないものが出てきたので驚きと怒りに加え、こんなもの一つでこの村の命運が決まってしまうのかという疑問が出てきてしまったようで、今は何とも言えない複雑な表情をしている。


「これは召喚の際もお持ちになっていたものと似ていますね、なにが違うのでしょうか?」

 その一方で、ベルは以前より情報があったので、フレイアとは対照的に興味津々にこちらに聞き返してくる


「ちょっとベルちゃん!こんなものに興味を持ってどうするのよ!これで私たちの今後が決まってしまうかも知れないのよ!」


「まぁまぁ、落ち着いてください奥様、これはですね先ほど話しました“ましんがん”なるものです、先ほど奥様は鉄の棒みたいなものとおっしゃいましたがほぼそんなような物です、ただこの棒から鉛の塊が“火薬”と呼ばれる発射薬によって目に見えないほどの速さで飛びだし、その飛び出した塊を“弾丸”と言ってそれが命中したものを貫通または破壊するのです、それも弓では届かない遠距離からです、これを私がいた元の世界の人間たちは“銃”と呼んでいます、このマシンガンは横から出ている帯状になっている部分につけられている鉛とそれを発射するための火薬が入った金属の丸い箱のような物これを合わせて“弾薬”と言ってこの弾薬をとても速い速度で連続的に発射する銃です、ただ例外はありますが……長くなりましたが、まぁ基本はこんな感じです」


「ごめんなさい、私そんなものだとはしらなくて、つい…… かなりこのマシンガンは有用なのね、弓の射程外からも撃てるなんておどろきだわ」


 先ほどとはうって変わってこの武器の有用性を知るや否や、手のひらを返したかのように称賛する


 ワタは丁度よく銃の話になっていたのでついでにSIG716についても説明する


「今度は何かしら?」


「このマシンガン(M240)は連射が(・)可能ですが、この銃(SIG716)はマシンガンとは違い連射も(・)可能な銃で場合によっては一発一発ずつねらい撃つことも可能です、連射によって威嚇・牽制射撃等も可能な銃で例外もありますがこのような銃を“アサルトライフル”と呼んでいます、意味としては突撃銃という意味合いになります、このアサルトライフルも使っていくつもりです」


「長くなりましたがご理解頂けましたでしょうか奥様?」


「大体わかったわ、とりあえずその銃で多くて遠くの敵も倒せるのね、後、奥様は止めて頂戴!お姉さんよ!」


「それは大変失礼しましたお姉さま」


「いいわ、それでいて、そのマシンガンを使ってどのように撃退するつもりなの?」


「このマシンガンをこの後設営する陣地に備え付けそこから、奴らに向けて鉛の雨を降らせるつもりですサー」


「流石です!ワタ様こんな作戦思いつきもしませんでした!」


「それはね……はぁ~、もういいです、そのままベル隊員はすぐに防衛陣地設営を手伝うように!」


「サー!イエッサー!」


「それとそこの見張り!すぐにベルと共に防衛陣地設営をッ!」


「御意!」



 そうはいったものの外はもうすでに日も落ちてしまったので村長が部屋を貸してくれると言うので、村長宅の一室を借りてそこで寝させてもらう事にした。


 もちろんベットはあったが全部が木でできているので、硬い!痛い!現代の低反発マットやコイルが入っている物ではないので背中が痛い……

 だが寝られるだけ感謝!感謝!




 翌日の朝


 起きて朝食を取り、さっそくベルやあとから合流してきたエレザ姉妹を呼び出し村長の家の裏庭で銃(M240とSIG716)のレクチャーを始める。

 ちなみに、先ほどエレザ達が他のギルド隊員に協力を持ち掛けてくれた、この後さらに5名ほど討伐から参加してくれるというので合流し次第その人たちにも戦闘中で協力がしやすくするため、銃の指導をするつもりだ。


 最初にSIG716を渡し伏せ撃ちで的撃ちをさせてみる、最初はまず弾倉に弾を込めるやり方からはじめ、初弾装填、セレクタの操作、リロード方法など慣れない手つきでレクチャー通りに操作していたが、もとは戦闘職についているためなのかすぐに習得し最後は慣れた手つきで撃っていた。


 特にエレザ姉妹は伏せ撃ちだけでなく実戦を想定した移動しながらの射撃や、依託射撃・膝撃ちなどを実践していた。


 ベルはM240を撃ち始めた時は発砲音と反動に驚いていたが撃つうちに慣れてきたのか、銃と一体化したかのように黙々と撃ち続けるようになった、最後の方になると機関銃とは思えないほどの命中率と集弾率をたたきだすようになった、やはり獣人族補正がかっているのであろうか……それにしても教官顔負けである、ベルちゃん、恐るべし! さっきは脳筋ていってごめんね……


 ベルとの射撃訓練に村長から紹介された俺の護衛役として就いてくれている子や今後村の防衛の為と後学の為に村の防衛隊長等も参加した。


 一人で十人力から四人で千人力にはなっただろう(ほぼベルちゃんのおかげで)トカゲ野郎だろうがなんでもかかってコイや!


 そう思っていた矢先に、伝令からリザードマンに動きがあったとの知らせが入る――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る