21.村長
「どうされましたか?ワタ様この奥に村長がいるみたいなので、行きましょう?」
「……ッッ、あ、ああ、そうしよう、か」
「大丈夫ですか?目の焦点が定まっていませんが?」
「大丈夫だ、少し考えごとをしていただけだ…よし行こうか」
二人は屋敷の中へと入っていく、途中先ほどの門と同じように時々屋敷内の護衛たちに足を止められながらも村長室の扉の前にたどり着く。
そこには屋敷内でも戦闘があったのかボロボロになった扉があった。
「「失礼します!」」
ノックをしたとたん壊れてしまいそうなので、失礼だとおもいつつノックをせず扉をあける
「あら!ベルちゃんじゃない!それと見知らぬ人を連れてきたみたいね? いらっしゃい、今日はどうしたの?」
「本日はご挨拶と少しお話があって来ました!」
扉を開けたそこには、リクライニングチェアに座ってゆったりとお茶を飲む、とある上半身の場所がかなり大きい、お姉さんがいた。
(クソッ!どうしても、視線が胸にっ!いかん!平常心、平常心……うん、ムリ)
「さっきから私の胸がずっと気になって視線が外せない、この子は?」
「紹介遅れました、この方は、今回女王様が召喚されたワタ様です」
「あら、そうなの、私はエルベ・フレイヤよ、もうわかっているとは思うけど、ここの村長をやっているわ、よろしくね~……にしてもこの子ずいぶんと本能むき出しね、ねぇ、ワタ君?」
「アッ、ハッ!失礼しました、その、えっと、ハイ好きです!」
とある一点を見つめて思考が止まっていたところに、急に名前を呼ばれたので俺は素っ頓狂な声を発する
(アレ?ワタシハナニヲイッテルノダロウ?)
「あらあら、そこまで言われるとさすがに照れるわねぇ」
(なんか知らんけどぼーっとしていたら村長に対して爆弾発言しちまったーー!しかも隣でベルがちょっと引いてるし……グスン)
「まぁ、それはそうと話って何かしら?」
「話というのはこの村の今の状態についてです、いつもだとこの時間になっても酒屋で飲んでいる冒険者たちが今日は一人もいないですし、村の人も出歩いていませんし、村の至るところにバリケードが張られているので何があったのかと思いまして」
「そのことについてなんだけど、丁度、女王様にも話をしようと思っていたところなの」
「女王様に話を通すまでのことなのでしょうか?」
「そうよ、ここ最近、村の周辺でリザードマンが出没するようになってからちょくちょく村の農場とかで食料を略奪される被害が出るようになってね、そうと思ったら丁度昨日、村に直接押し入ってきて村の衛兵を数人殺害されて最悪なことに戦闘に参加していた私の娘がさらわれてしまってね……それで村中こんな状態になってしまったの」
「その娘さんは助けにいかないのか?」
「今すぐそうしたいところだけど今の村の戦力じゃ無理よ、残念なことに最初の襲撃で多くの兵士達がやられてしまったからね……だから王国かギルドに救援要請しようと思っていたところなのよ、その前にギルドには討伐依頼を出していたのだけれどね」
「でしたら、このわたくしがその魔物どもを討伐してまいりましょうか?」
「それは難しい話ね、いくら貴方達でもそう簡単には討伐出来ないわ、あのリザードマンはそこらのリザードマンと違ってかなり手強いわよ!」
「となるとここはワタ様の出番ですかね…… フフッ」
最後の最後でベルは何かをぼそっと言ったが聞き取れなかった。
(こんな美しいお姉さんの娘を攫っただと!聞いていたら腹が立ってきた!こうなったらチートじゃ!!フフ、これでチート無双が……見ていろ!今すぐハチの巣にしてやる!トカゲだかドラゴンだかわからんが首を長くして待って居やがれ!!)
こうしてワタ達は対リザードマン作戦が始まる――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます