17.モンスター討伐作戦2
気付けば20連マガジンもすでに7回もかえていた、10用意していたマガジンは残すところわずか2しかない。
敵は仲間が次々に倒れていくのをものともせずに屍を越えて一歩一歩確実にこちらに向かって歩み続けてくる。
さすがに量に気圧され俺は徐々に後ずさり始めてしまっていた。
俺がステラに手が届く距離についたころにはゴブリンは俺らの足元に到達してきていた。
その足元にとりついてきたゴブリンを俺はとっさに腰に万が一のために装備していた鉈を取り出し応戦した、そのころにはステラも戦い始めていて、鉄がぶつかり合う音や何かがつぶれた音が聞こえてくる。
ただでさえ戦闘をしたことがない俺は銃なら難なく使いこなせるが、刃物となるとうまくいかず攻撃しているというよりもはや振り回して当たれば良いほうだ、今まで俺に出番を取られていたステラだが近接戦闘となった今や水を得た魚のように生き生きしている、そしてきれいな身のこなしで次々と敵を屠ってゆく。
ステラは淡々と敵の首を斬り落とし、袈裟懸けに斬りつけていく、その結果ステラはゴブリンの返り血を大量に浴び今やけがをしたのかわからなくなるぐらいになってしまっている。
ただ、それだけにとどまらず彼女の足元や周辺にはまるで川のようになった血が流れていてそこには無数の死体が無造作に転がっている、現代の一般人が見たら卒倒しそうなほどの光景だが、それを見て動揺する余裕のすらない元一般人は今でも懸命に鉈を振り周囲によって来る奴らを倒していく。
戦闘開始から1時間余りたったが、敵の勢いは衰えることなくどんどん押し寄せてくる。
対するこちらは2人しかいない上に増援もなくただただ体力が消耗していくだけだ。
最初こそステラは相手の攻撃をサラリとかわしていたのだが、体力を消耗するにつれ集中力が途切れてきて、かわすのが少し遅れがではじめその影響でかすり傷が増えていき、さらにそのせいで更に集中がそがれていき、はじめはすっぱりと斬れた剣も刃がこぼれだし今や殴るか無理やり叩き斬っている。
さらにそれから約30分経つとようやく敵の勢いも落ち、向かってくる敵も明らかに少なくなってきていた。
だが、敵が少なくなってきたことによって気を抜いてしまったのか、ステラはゴブリンから足払いを喰らい見事に転んでしまった。
転んだ勢いで剣が飛んで行ってしまい抵抗する手段を失ってしまった。
そんな状態のところでゴブリンに周りを囲まれてしまったステラは、自分の最期を悟ったのか目をつぶり何かを祈り始めた。
そのころには俺は丁度よく自分の周りから敵を排除できたので、すぐさま手に持っていた鉈を近くにいたゴブリンに投げつけ腰につけていたP226を取り出し発砲を開始する。
大した数ではなかったがさすがにこの武器が向いた方向からしか攻撃が来ないことが分かったのかちょこまかと動き回り中々当たらず苦戦した。
それでも頭を狙い撃ち一匹一匹確実に減らしていく。
苦戦しながらもなんとかこちらに歯向かってくる奴らはいなくなったが、当たった箇所が致命的な場所ではなかったが腕や足がもぎ取られ苦しみながらもがいている奴らもいる。
ゴブリンの血によって川のようになったその場所は地獄絵図そのものだ。
目視で数える限り200体以上のゴブリンの死体が転がっていた。
ステラはゴブリンによって受けた不意打ちを受けさらに窮地に追い込まれてしまったことによるショックで頭が混乱したのか目を開けたまま敵がいなくなった今でも祈り続けたまま固まっていた。
「……主よ我を救い給え、主よ我を救い給え」
「おい!ステラ目を覚ませ!」
俺が近づいて行ってもなお祈り続けているステラの肩を激しくゆすり意識を戻す。
「はっ、敵は?ゴブリンは?」
「もういなくなったよ、ほらこの通りだ、な?」
俺らの周りにはもうピクリとも動くものもなく、ただ目の前には不自然な静寂があった。
「良かった、また死ぬのかと思った……また助けてもらってしまった、ありがとう」
ステラは今にも泣きそうな顔であったが何とかこらえこちらに微笑み返してきた。
最初にステラにあった時も今回と同じようにゴブリンの集団に襲われ取り囲まれてもはやこれまでというところで俺によって助けられていた。
ステラはホッとしたのかその場に座り込み、しばらく何かを考えていたがそこで何を思ったのか急に立ち上がり俺に抱き着き俺の頬に口づけをしてきた。
予想しなかった行動に固まってしまった俺だが、ステラはさも何事もなかったかのようにすぐに落としていた剣を拾い森の外へと歩き出し始めた。
「おい!ワタいつまでぼけっと突っ立っているんだ!?すぐに町へ戻って報告しないと!」
「おっおう」
そういってすぐさま町の方向に向かうステラを慌てて追いかけていく。
ふとステラの顔を見ると顔が少し赤くなっていた――――
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