16.モンスター討伐作戦

 

 町を出た俺とステラはまっすぐ西にある森へと足を向けていた。

 本来であれば町にある店でこの後必要な食糧や水、その他諸々を購入する必要があるが。

 その部分は俺がLiSMによって召喚して補えばいいので問題ない。


 そのことはステラにももうすでに伝えてあったので混乱もない。

 当然ステラにこのことを伝えたときにはかなり驚かれたが。



 町から出て数十分ほどで目的地である森についた。

 もうすでに討伐が始まっているのか散発的に戦闘の音や声が聞こえてくる、この音が行商の襲われているものだったら最悪だが……。


 森の中に入る前にP226からマガジンをさし、スライドを引き初弾送り込み、同じようにSIG716にも弾を込めていく。

 弾を入れ終わるとメインウェポンであるSIG716を構え前へ進む。

 それにつられるようにステラも抜刀し俺の後ろについてくる。


 この森は以前、今の約2倍もの広さがあったようだがその大部分が開拓され町や農村などになっていた、それでもなお広大な面積を誇っている森は地域住民にとって貴重な薬草や果物などがとれ、森の中心を流れている川では魚が釣れるようだ。


 しかし、最近になって開拓するときにはいなかったはずのモンスターがどこからやってきたのか棲みつきはじめ、今までここでの収穫によって生計を立てていた人たちに被害が及びはじめそれと同時期には商隊などが襲われ多数の死者が出る事件も発生してしまっているようだ。

 それもあってか今まで人の手で手入れされていた森は荒れ果て今や木も草も生え放題である。


 森を進むとすぐ、俺らから100mぐらい離れた森の中の少し開けている場所に醜い小人のような生物が不快な鳴き声のようなものを発しながら集まっていた、このゴブリンたちは各々手に木のこん棒のようなものやボロボロになった短剣や鍬、短くされた槍、弓などで武装している、しかし、防具に関しては概念がないのか、体にはボロボロになった布切れだけを身に着けているだけだった。


 最初に遭遇したゴブリンとは様子が違っていてこの集団の中心には体の大きい(人間でいう中○生ぐらい)個体が一体いた、おそらく奴はこの集団のリーダー的な存在なのであろうか装備も周りのゴブリンよりも大きく比較的きれいな状態の剣を持ち、もう一方の手には丸い盾のようなものも装備している。


 それを発見した俺はステラに事前に打ち合わせていたハンドシグナルで合図を送り、打ち合わせ通りの動きを始める。

 ステラは俺の射線上に入らないように右後方につき身をひそめ待機する。

 それを見届けた俺はリーダー格のゴブリンの頭に狙いを定めセレクタを回し安全装置(セーフティー)を解除しセミオートに切り替える。

 そして静かに引き金に指を添えゆっくりと力を込めていった。



 破裂音と重い肩に伝わる反動とともに発射された7.62mm×51NATO弾はゴブリンリーダーの頭を貫通した。

 その貫通した弾の衝撃波で頭の内容物をあたりにぶちまけ、主を失った身体は力なく崩れ落ちていった、それをみたゴブリンたちは急なことで一瞬立ち止まってしまっていた、中にはリーダーに近寄り、なにがあったか確認するものもいた。


 しかし、状況が理解できないゴブリンたちはただ茫然としているだけだった。

 俺はしばらく冷徹な目でそれを見つめていたが、すぐに次のターゲットの頭にサイトをあわせ弾を撃ち込んでいく。

 被弾したゴブリンは胴体部分に大きな風穴をあけ、もともと体が小さいので吹っ飛ぶように斃れた。

 再びの破裂音と仲間の死に気付いたゴブリンたちはそこでやっと敵の襲来に気づき音のするほうに向け不愉快な奇声を上げながら進軍し始めた。


 リーダーと仲間を殺されたことによって激しい怒りをともなったゴブリンたちに俺は焦りと恐怖を感じてしまっていたが、それでもまだこちらが一方的に攻撃できる距離にあるのでこの優位に立っているうちに敵の数を減らしていく。


 だが、撃っても撃っても何処からともなく沸いてくるゴブリンは近くにいたやつらが応援に来たのか最初に見つけた時よりも増えていた。




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