第29話 ゴール

 その頃、噂の日向はというと、

(今、九周目に入ったからあとは二周……差は音的におそらく7m弱。私が下を向いてるのを凛花さんは分かってるだろうから、様子を見てここら辺で加速はやめるはず。…………戻った、一定のリズム。予想通り凛花さんは加速をやめたところで私はコーナー。これを抜けたら少しずつ加速して、次は……)

 頭の中でレースの展開を予想、そして実行する手順や時間、距離を考えていました。

 それだけではなく、日向は同時進行で、

(風華さんの言ってた秘密兵器、ビンディングシューズはペダルと繋がり、ペダルはクランクと繋がる。つまり……)

 超スピードで、勝つための材料である、風華からの秘密兵器について考察をしていました。今まで頭の中で世界を構築し、知識を実践ではなく想像で活かしてきた日向。

 頭の中でレースの構造や、ずっと顔色を伺い、観察してきた人間の動きを予想するなど、造作もないこと。まさに脚質である支配者の名に相応しいスキルです。

 九周目の第一コーナーを抜け、直線へ、そして再びコーナリングをする時、日向は秘密兵器の秘密と使い方を理論上は完璧にマスターし、風華の意図を見抜いていました。

 ———遂に実践。

 ついでに行ってきた今までのコーナリングとは違い、日向はその力を余すことなく使うために、コーナーに突入しました。

 サドルから腰を上げ、前へ重心を。そして、ビンディングシューズに力を込め、ペダルへ、クランクへ、そしてフレームへと力を伝達していき、コーンに前輪が差し掛かった瞬間。

 脚の力のみを思い切り右側に。そしてハンドルをコーンギリギリに沿うようにして押し込みながら、ハンドルとフレームが再び一直線になった瞬間、ギアを一段重くし、更なる加速へ———。

 タイヤがギャキャギャギギャッ‼︎と、摩擦音を立てて、その力を速度へと変換していきました。そのスピードは先程よりも格段に上。

 凛花との差は3mと、あと僅かの位置まで近づきました。

 この、急ドリフト、急加速を真正面、間近で見ていた佐久は、驚きに目を見開きました。

「い、今、後輪が浮いてた……あれはドリフトじゃない!あれって……!」

「……ふむ、ジャックナイフでの走行に近いな。速度を殺さずに前輪コントロールのみでコーナーを抜ける、ブレーキ無しでのジャックナイフ……」

「いいえ、違うわ。アレはジャックナイフなんてものじゃないです」

 風華が計画通りに上手くいった、とドヤ顔をしながら玄二の意見を否定します。

「では、なんだと言うのだ?あの走り方は。まさかドリフトだとでも言う気か?」

「ええ、アレは漂流ドリフトですよ。漂流するのは、地面ではなく、空間ですが」

「えっ、どういうこと?」

 佐久がさっぱり分からないという、風華の描いた通りの反応をするので、風華は気持ちよく饒舌に語ります。

「まず、日向ちゃんがドリフトしていると誰もが勘違いしていたのは、日向ちゃんが地面スレスレにしかタイヤを浮かしていなかったから。若干浮いているのに、結局地面に付いて摩擦が起こる影響で、誰もがシクロクロスで砂利道を走る時のような横滑りをしていると勘違いしてしまっている。でも、そうじゃないわ。日向ちゃんがしているのは方向転換しにくいロードバイクの後ろ側を持ち前の体幹でコントロールして、上げること。そうすることで機体は後ろだけが宙を舞い、ハンドルと体幹だけで速度を落とさずコーナーを駆けることができる。更にはアタシが与えた秘密兵器のビンディングシューズ!アレを使えばペダルに力を入れるだけで更に後輪は上げやすくなり、摩擦ゼロの状態でペダリングすることで脚のダメージなく加速。まるで見えない力にアシストされるように、コーナーのたびに日向ちゃんは速くなれる!名付けて——」

 語りに語り、ビンディングシューズという自分の与えた秘密兵器の功績を混ぜ込んだ風華は、いつもの黒い笑顔……いや、今回は黒いドヤ顔で、

「〈エアドリフト・リ-アクセラレーション〉‼︎」

 叫びました。

 超が付くほど、厨二病感溢れる技名を。

 ただ、自信満々に言う風華に、「厨二病乙‼」などとは誰も言えはしなく。ただただ心の中で、

 ——技名が長い。なんか頭悪そう。

 そう思うのでした。

 と、日向の走りに格好いいアダ名がついた時、日向と凛花は既にほぼ同じ地点。距離にして1mの差にいました。

 走っているのはあと一周でフィニッシュラインになる少し手前。

 この時、凛花は既に、ぶっちぎりで勝つなんてことは完璧に考えから除外していました。

 日向に最後まで抜かれず、コーナーを日向より速く抜ける!それを念頭において、後ろをチラチラと見ながら、速度を落とさずに走りました。

 と、そこに。

『さあ!レースは遂に後一周!泣いても笑っても、これが最後の周回です‼︎』

 アナウンスと共に、最終周回を告げるジャンが鳴りました。

 その音はとても大きく、レース会場の外にも聞こえるほどでしたので、当然、一番近い位置にいる日向にも聞こえてたわけで。

(最後……残り一周。このペース、この位置ならきっと、)

 日向が顔をおもむろに上げます。

(顔を上げたら直ぐそこに——)

 日向の顔が完全に前を向いた瞬間、ちょうど振り向いたタイミングの凛花と、日向の目が、アイウェア越しに合いました。

 いつもなら、目が合ってしまうと、咄嗟に視線を逸らす日向。でも今は、

「———いた」

 決して逸らすことなく、むしろ、唇を歪め、不気味とも言える笑顔で、凛花を真っ直ぐに見つめていました。

「っつ——‼︎」

 その笑顔に、ゾクリと身震いをする凛花。

 恐怖を感じ、青ざめる、先程の日向と立場が逆になりました。

(まずいまずいまずいまずい‼︎あの顔は、まだ残ってる!力がっ!)

 前を向き、凛花は走行ラインをコーナーのコーンから遠い、右側に変更。急な角度ではなく、緩い角度で、距離を走ってでも即座に加速できるような位置に移動しました。

 後ろにつかれるか?と思い、凛花は再び後ろの日向の方を確認します。が、

(……ついてこない。いや、それどころか)

 日向は凛花とは逆、どちらかといえば左寄りギリギリのラインを走っていました。

 コーナーまでの距離は後僅か、外に移動したことにより、凛花と日向は並走の位置で走っており、そしてそのままグングン加速していきました。そして、

(ここで勝負が決まる‼︎)

 凛花はコーンが横に来ると、後輪ブレーキを少しだけかけ、ペダリングをしたままコーナリングを開始しました。

 最高のタイミング。勢いを殺さない正に正攻法。

 上手くいった!と、喜び凛花でしたが——

「……!——えっ⁉」

 そんな正攻法、日向には全く通用しませんでした。

 風華命名の〈エアドリフト・リ-アクセラレーション〉を素早く発動し、コーナー内側を物理法則完全無視とも言える攻めで突破。

 遂に凛花の前に、そしてこのレースで今一番ゴールに近い位置に、躍り出ました。

 そして駄目押し、ゼロ摩擦からの再加速〈リ-アクセラレーション〉により、更にその差が開きます。

 ドンドンと加速し、立場が完全に逆転。ここで勝負が決まると考えていた凛花にとってこれは勝負の終わり……しかし、

「まだよ……まだ、まだ…終わるわけにはいかない……私はまだ、走り続けたい死にたくない——‼︎」

 凛花は再び、ギアを上げ、〈ゼロスタートスプリント〉……否、全力からの更なる全力、〈リブートスプリント〉で日向を追いかけました。

 彼女の脚質、〈スプリンター〉は己が全ての力を最高速度に変換する〈平地最速〉のクラス。

 故に、その命懸けの走りには、絶対的な鋭さがあり、それは見事に日向を、

「うあああああああああああああああああああああ———‼︎」

 貫き、追い抜きました。

 まだここまでの力が残っていたか!と驚く観客一同。凛花のことを良く知る、佐久や風華ですら、この加速には驚きを隠せませんでした。

 この会場、このレースを見るもので、凛花の走りに声を漏らしそうにならない人などいないと言っていいほどの踠き、——全力のスプリント‼︎

 これについて来れる女性選手、ましてや追い抜くことができる者など、早々はいないだろう、初心者ながらに自転車界のトップに真に迫る走り。初見であれば、まず間違いなく出遅れるスプリント。

 意表を突かれた!これを見ていた、共にコースを走る選手すらも含めた全ての人がそう思い、驚きを露わにしました。

 でも、日向は……日向だけは、

「……そうくると思ってましたよ。凛花さんは負けずに踏ん張って……そして、きっと、絶対に!——右から抜くって‼︎」

 予感し、予想し、予見していました。だから驚きません。凛花が自分を抜いた瞬間、日向は素早くその後ろに付き、スリップストリームを活かして追走します。

 その感覚は、もう1mも空くことはありませんでした。

「浅神さん、上手い‼︎ぴったり張り付いて前を牽かせてる!このまま行けば勝てるよ‼︎」

 興奮する佐久ですが、一方風華は微妙な表情で、

「いえ、ここまできたら牽かせてるのはあまり関係がないわ。お互いがきっと、いっぱいいっぱいのハズだから。それに……」

 風華は唇を噛み締めました。

 風華達四人は、ずっとこのレース中、日向の応援をしていました。しかし、風華は内心で、

(あの子に……凛花ちゃんにロードバイクができるように、志信に親の説得をするように言ったのはアタシ。日向ちゃんに才能を感じて、戦えるようにしたのもアタシだけど、でも……)

 迷っていました。

 凛花が100㎞チャレンジをした時の状況を佐久に聞いた時、自転車競技の向き不向きを恐怖心の有無で考えていた風華は、凛花に可能性を感じていました。

 ママチャリでバカやるほどにロードバイクに憧れを抱くその心意気に、家が自転車一家という宿命のような環境。彼女が、ママチャリでロードバイクの練習と同じ強度で練習していることも、後に知りました。

 だから風華はチャンスを与えようとしたのです。

 自分の彼氏に、『妹がこれほどにロードに憧れているのだから、協力して後押ししてやりなさい』と。『プロになるんだから契約金ウチに落としてロードバイク購入しなさい』と。          

 そう告げたのです。

 そして風華のチャンスを凛花は一先ず手に収めました。後はレースに勝てば完全なる勝利。それを望むのは凛花、志信、そして風華でした。

 ——そうです。

 風華は凛花に勝って欲しかったのです。熱が入り、最近自転車競技を始めたばかりの日向に対してかなりのお膳立てをしていた風華ですが、

 ——日向よりも前、風華が自転車の世界に巻き込んだ少女が、ここにいたのです。

 風華はその少女に対して……否、少女達に対して、必然的に、そう当たり前のように願わなければならないのです。その勝利を……自分が巻き込んだ、少女達の勝利を——!

 ……でも、無情にも勝負の世界において一人が応援できるのは一人だけ。

 だから風華は——

「………乗っけちゃった、船だものね」

 拳をギュッと握る風華。目を一度瞑り、そして開くと、覚悟を決めました。

 両手を開き、広い輪っかを作ると、それを口元に当て、大っきな声で——

「凛花ちゃーん‼︎もがけぇぇぇぇぇええ———っ‼︎」

 叫びました。コース全体に聞こえるくらいに力一杯。

「な………………」

「ぇ………………」

 いきなりの凛花の応援に、佐久と玄二は驚きぽかーんとしました。

 幸は「あらあら」と毎度のように微笑みます。ただ、少しは驚いている感じです。

(最後は全力で勝負してって言ったけど、アタシはどちらにも負けて欲しくない。日向ちゃんは……きっと大丈夫。あの子には佐久も、ご両親だって応援してる。けど、凛花ちゃんには誰か……いいえ、誰かじゃなくてアタシが必要。アタシが……あの子の背中を押してあげないと。だってあの子はアタシの……もう一人の妹だから!)

 その声は、少し遠くを走る凛花にもしっかりと届きました。

 風華の意思、気持ち、そして何より自分への唯一の激励に、凛花は思わずクスリと笑ってしまいます。

(あーあー……頑張らなきゃいけないのに、力抜けるような応援しちゃって……らしくないわね、お姉ちゃん。でも……)

 凛花は強く、ハンドルを握り、そして立ち上がります。車体を揺らし、その自由を切り開くための脚に本当に最後の力を込めて、

「——ありがとう‼︎」

 ファイナルスプリントを開始しました。

(コーナー前、ここで前をずっとキープできたら本当の勝ち。引き離した時みたいに緩めた後のゼロスタートも悪くないけど、きっと躱される……だったら!)

 遂に最終コーナー。アウトコースすら幅が限られているこのギリギリのカーブで、凛花はセンターコースを突っ込みました。

 アウトコース、インコース、どちらに行っても抜きにくいど真ん中。凛花は安定しない車体を、地面に着きそうなペダルを必死にコントロールして、コーナーを駆けます。

 若干ですがインコース攻めな位置。

(ここであのドリフトは不可能なハズ、アウトコースからの気配もない……。——勝った‼︎)

 残りは250m。全力で駆け抜ければ、二十秒もかからない残りの距離。

 凛花がもう、今日何度目か分からないものの、一番の勝利の確信をした、——その瞬間でした。チラリとアウトコースを見た時に、インコースに怪しい影が映ったのは。

 恐る恐る、体感時間は遅くも、現実時間では一瞬で振り返るとそこには、

(っ——‼︎なんで……なんでずっと!ずっとぉ‼︎)

 後輪を浮かせ、既に〈エアドリフト・リ-アクセラレーション〉を繰り出す日向の姿が。

「そこにいるのよ—————————————っ‼︎」

「———っああああああああああああああああああああああああーっ‼︎」

 日向が雄叫びを上げ、凛花のギリギリ隣、もうあと1㎜で触れるんじゃないかという距離にまで自分をねじ込みます。

 それを一番近くで見ていた佐久が、

「あ、危ない!後輪が‼︎」

 空間を漂流して、外側へ行こうとする後輪を見て、叫びます。ですが、それすら計算の内。

 日向は凛花のロードバイクと自分のロードバイクがぶつからないスレスレの部分で後輪の漂流を止め、そして全力でクランクを回し始めました。

 その姿は、これからの加速に、エネルギーを蓄えて放とうとする、自転車版ピッチングマシーンのようでした。そして、後輪が地面についた瞬間——

「日向ァァァァァァァァァァァァァァ—————————————ッ‼︎」

 ギアをトップにして、割れそうで弾けそうな脚で、凛花が最後の〈リブートスプリント〉をします。

 日向も、見よう見まねのダンシングスプリントで、

「うあああああああああああああああああああああ—————————————‼︎」

 叫び、身体の痛みを押さえ付けて、暴れる機体をコントロールして、最後の加速を始めました。

 両者一歩も、1㎜も譲らない走り。

 それは、単なるホビーレースの枠を超えた熱気でした。

 

 一人の少女は、自分の自由を守るため。

 一人の少女は、………………なんのため?

 

 日向はふと、我に返りました。

(私は、なんのために走ってるんだろう?)

 日向の頭に、チラリと父の顔が映りますが、

(違う。お父さんのためじゃない。お父さんに反抗するためでも、認めてもらうためでもない。なら……)

 ——私は、なんのために走ってるんだろう?


 少女は初めはただ、初めてのスポーツが楽しくて走っていました。レースでもそれは変わらず、少女はただ楽しくて楽しくて、走っていました。

 置いていかれても、少女はずっと走っていました。直ぐに立ち直り、最善策で走り続けました。その時も、決して楽しくなかったわけじゃないです。

 でも、少女は思ってしまったんです。このまま追いつけなかったら、追い抜けなかったら、と。

 それはきっと、——楽しくないだろう、と。

(ああそうか。単純なことだったんだ……)

 それは純粋で、誰にも侵すことのできない当たり前の感情。

(私はずっと……)

 彼女はずっと、

 ———勝ちたいから走っていたのです。

 その真理に辿り着いた時、日向に疲労感はありませんでした。あるのは、真っ白な感覚。

 冷えた水が、身体に広がっていくような感覚。人間が身体のみで行える唯一の、一種のドーピング。

 そう、脳内麻薬アドレナリンが、日向の身体に流れていました。日向の身体はもう、玄二が認めなかったとしても、とっくに、〝アスリート〟になっていました。


 ふと、一瞬どこかに飛んでいた意識が、急激に日向の頭に戻ってきます。

 ペダルを漕いでいる、クランクを回している、機体は、——身体は前へと進んでいる。

 日向は意識をしっかりと持ち直し、更に前へと駆けました。横には未だに差はなく、凛花の姿がスローで見えていました。

 日向は、もう、感覚的に右手中指を動かしていました。挑発とかのためじゃありません。

 最後に……最後まで取って置いた、切り札を使うために。

 ガチャンッ……という金属と金属が擦れてハマる音が響き、隣の凛花は思わず、目を見開きました。まだ残していた、トドメの〈弾丸ギア〉。

 ラスト50m。ラストギア、踏めなければ日向の負け、踏めたら日向の勝ちというこの状況で、凛花はあることを思っていました。悟っていました。

(そっか、私にはもう、弾がないのか。…ははっ。いつ使った弾が敗因かって後で聞かれたら、私はきっと……日向を置いていった時の…………あの裏切りの弾だったって、苦笑いで答えるんだろうなぁ)

 凛花の速度は落ちていません。日向が踏めなければ勝ちは確定でしょう。

 でも、凛花は分かっていました。

 純粋な気持ちより強い力なんて、どこにもないことを。そして——


 車輪が、遂にラインに重なります。スタートを合わせると十一回目の重なり。

 その行為を、一番初めに終わらせた選手の勝ちというシンプルなゲーム。

 予選はなく、誰にでも平等な競技であり、一人以外は全ての選手が敗北者となる残酷な競技。

 そんな、最も救われない競技で、今回唯一救われたのは———

『先頭二人がゴオオオオオオオオ———ル‼︎差は僅か!目では確認できない僅差となりましたが、ビデオ判定では如何にッ⁉』

 横並びにゴールして、並んだままに脚を止めて、惰性のみで進む二人。

「っ……はっ……はぁ……っぁ……」

「はぁ……はぁ……ぁ……ぁぁ……」

 額を主に、身体中は汗塗れ、息も絶え絶えで、下を向く二人。

 そんな、少しも動けなそうなこの状況で、最後の力、身体が動く最後の力で、一人がその手をピクリと動かします。

 それと同時、再びアナウンスが鳴り響き。

『ええ〜ビデオ判定の結果‼︎非常に、非常に僅差ではありますがッ!勝ったのはチーム無所属のこの選手ぅ‼︎圧倒的コーナリングで観客を湧かせ、遂には大逆転勝利を収めたっ!浅神ッ‼︎日向ァァァァァ——————ッ‼︎』

 アナウンスでの結果と同時に、湧く、観客達の抑えきれんと言わんばかりの興奮の雄叫び。

 日向は、その声に応えるように、まるでそれが掟であると知っているかのように、止まったロードバイクの上で、片手をグッと上げるのでした。

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