武器無し、そして援護射撃。
「な、何だこいつらは・・・お、おいお前さん!?俺の代わりにこいつらをやっつけてくれ!」
「おう、任せとけ!」
「(はい来たーーー!)」
俺は本心ですらも大興奮気味だったがここであることに気がつく
それは本来ならこの馬車に積んでいる筈の武器一択が、結局はどこにも見当たらないのだ。
「!?」
普通に考えてこの場面では中年男性とプレイヤーと、その男性の横に上からシートで敷かれている武器の数々が用意されている
それは予めその武器の使い方に慣れる為であり、俺にとってファンタジーワールドに欠かせないものだと確信していたので武器が無いのは尚更おかしい出来事だった。
ーーーーーーーー
「ウォーーー!?」
やばいゴブリンが来る!
俺は取り敢えず馬車に侵入する一匹のゴブリンを有無も言わさずに靴の裏で蹴飛ばしてから、乗客を巻き込まない為にすぐにその馬車から降りる
「お、おい何を考えている?まさかとは思うが、武器無しでゴブリン達と戦おうってのか?」
「止めてときな?身ぐるみ剥がされて道端に転がるのがオチだよ!」
「(いやそれしか選択肢が無いから仕方ないじゃん!)」
俺は四つん這いにして叫んだ男性に対して心の奥でツッコミを入れる
気がつくと男性の乗る馬車は遠くへと行ってしまった・・・。
「さぁて、どうしようかな?」
俺は指と腕を慣らしながらそう呟いたが、内心ではかなりビビっている
「(いや、本当にどうしようかなこれ、武器無しでゴブリンに挑むなんて反則だろ!?)」
一瞬、先の男性の台詞が頭によぎり、それから目の前に三匹居るゴブリンの一匹が飛びかかって来た。
「・・・ええぃこうなったら!?」
俺は一度その飛びかかりを後ろにジャンプして躱した後、また右手の平を開きなながらそれをゴブリンに向けこう叫んだ。
『
するとどう言う事だろう。
右手の平には魔法陣の様なものが出現して、そこから自分はきっと使えないと信じていた魔法が使えるでは無いか!?
『ぎゃあああ!?』
手の平から発射された火炎放射器の様な炎は、一瞬にしてゴブリンの体を包み込む。
従ってそれを救い出そうとした他のゴブリンも巻き添えを食いそのまま黒焦げになって行った・・・・。
「・・・・。」
「(阿保だ、阿保がいるぞ?)」
しかしすぐに馬車の方に居たゴブリンがこちらに攻撃を仕掛けて俺はそれを瞬時に避ける。
しかし今度の相手はレア度は低いものの鉄装備一式のメイスゴブリンに小太刀のゴブリン。
俺は先の様な一筋縄ではいかないと判断し、少し馬車から距離を離して起きつつ人差し指を立ててエネルギーを溜めてからそれをゴブリンに向ける
『スパークショット!』
指先から発生した静電気の様なビームが、ゴブリンにメイスゴブリンを焼き滅ぼす、しかしタルワールゴブリンは盾で受け流した影響で間一髪のところを堪えることができた為、盾を捨ててからその剣先をこちらに見せつける。
「体が一瞬だけ赤く染まった?これは正しく剣士スキル『剣技:捨て身の構え』だな!?」
『グギャアアア!!?』
俺がゴブリンが自身に当てたスキルを解説すると小太刀のゴブリンは一目散に飛び上がりながら体を黄色く光らせ、「そうだー!」と言わんばっかりに体を回転させて叫びながら小太刀を振り下ろしてきたのだ。
「くっ!」
間一髪俺は避けるのに成功したが、タルワールゴブリンの居るその足元衝撃で底の薄いクレーターが完成してしまった。
外したかと言うように、ゴブリンは猫背になりながらこちらを睨みつけてくる
俺はそのゴブリンより先にそのクレーターを見て思った。
「(もしもあの攻撃が直撃していれば、無事では済まないだろう)」と。
ーーーーーーー
しかし俺が置かれた状況から察するにゴブリンは何かがおかしい。
本来ならチュートリアルに登場するゴブリンは槍や太刀を装備してらおらず、持っていても精々剣や盾一式装備のみ。
たしかに装備したゴブリンも存在しているのだが、それは先に進んだ後で登場するゴブリンだ。
「・・・・。」
俺はこの世界はファンタジーワールドと似た異世界なのではないかと気づき始めた。
「キジャー!」
するとその時、小太刀のゴブリンがこちらに目掛けて太刀を振り下ろして来る
反撃しようにも魔法を撃つ流れに体が追い付けない。
このままではゲームオーバーになってしまう、そう思ったその時だった。
突然町のある方から拳の形に纏まった水流が発射されて、すぐさまゴブリンを襲った。
「?!」
僕を襲いかけたゴブリンは小太刀を手放しながら馬車が歩いていた道とは逆に流されていき、気がつくと壁に打ち付けられてしまう。
「今のは一体?」
俺は何が起こったのかを真っ先に知りたかった為に、恐る恐る水流が発生した方を見てみ
る。
すると遠くで止まった馬車を背にしつつ黒いノースリーブな服装スカートを着用した二人の金髪のガングロ少女が立っていて、その髪が短い片方が手を伸ばしていた。
「(・・・あれは、ひょっとしてダークエルフ?その片方がさっきの水流を引き起こしたって言うのか?)」
またシナリオに存在しないイベントに頭が少し混乱したのだが、真ん中に挟まれながら猫背にほくそ笑む赤い貴族のような衣装を着た内蔵脂肪が太め男性の姿を見て何故か少し違う方向に傾いた。
「(頭のロザリオを見る限りあの国の王様っぽいな、となるはあの二人はまさかあいつの『奴隷』なのか?)」
何故ロサリオまで見えているのか気になる以前にあの三人の関係を知りたくなった俺だったが、魔法を放ったらしいダークエルフの一人に言われて馬車の方まで誘導された。
「おいお前!早く国王の前にくるんだ!」
VRで最強目指していたらなんかそのまま転生してしまった。 煌めきの宝石 @kanasiminokurisutalu
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