第14.5話
■
夜道を歩く。歓楽街を抜け、街灯が規則正しく灯されている道を歩く。頬は少し紅潮しているものの、足取りはしっかりとしており、きちんと道の端を歩いている。
酒はいい。体温とともに気分も高揚するのがいい。火照った頭に冷たい夜風がぶつかるのがいい。馴染みの店を後にする寂しさに浸るのもいい。
冬はとうに過ぎ去ったが、「はぁー」と息を吐いてみる。呼気は白くならず、夜に霧散した。
肌に当たるは程よく冷たい夜風。未だ、燃え盛る炎の中に生きる我が身を正気に戻してくれる、ありがたい存在だ。ふと、視界の端に何かを捉えた。明るい色をした毛玉、否、一匹の猫であった。野良のわりに毛並みは良い。通い妻ならぬ通い猫だろうか。近づいても逃げないどころか頭部を擦りつけてくるあたりから、かなり人慣れした猫であった。
んーぅ
しばらく撫で続けていると猫が声を上げた。残念ながら、何と伝えてきたのかはわからない。同居人ならばわかるだろうか。子どものような何かと行動を共にする変わった男ならば。
「・・・また、巡り会ってくれる?」
思わず
■
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます