第3話 魔法使いの家族

 俺の事を知るついでに家族のことも知っておこうと思う。


 まずは父様。

 バレンウッド家当主。リーディオス・バレンウッド、44歳。

 元々は平民だったけど類まれなる魔法の才能と闇の魔法への適性を評価されて、この世界で一番の魔法学院への特別入学を果たしたとか。

 バレンウッド家には婿養子としてきたらしい。

 北の大陸で産まれたから髪は母様の漆黒と対になる白銀色だ。

 瞳の色は闇の魔法への適性を表す墨色で、いつも輝きに満ちている。

 いつも気温が低い北の大陸で生きていたからか、生活力に溢れてとても逞しい。領民からの評判もとてもいいって姉様から聞いた。

 いつも優しくて面白い俺の自慢の父様だ!


 次は母様。

 バレンウッド家の公爵令嬢。シルヴィア・バレンウッド、44歳。

 バレンウッド家の長女で令嬢らしい教育を受けてきたらしいけど子供の頃はとてもやんちゃで護衛に隠れて領地へお忍びで遊びに行ってたらしい。そのせいか顔がとても広く、領地に行くとすぐに人に囲まれちゃうんだ。

 父様と同じで光の魔法への適性を評価されて魔法学院への特別入学を果たしたんだと。父様とはその学院で出会ったらしい。その時の話はまた今度たくさん聞かしてもらおう。

 東の大陸で産まれたから髪の色は漆黒。腰まで伸びた髪は光を受けていつもきらきら綺麗に輝いてる。瞳は光の魔法への適性を表す百合色で歳を経てなお、その美貌は健在だ。

 使用人に頼った生活をするんじゃなくて自分で料理をしたり、掃除を手伝ったりしている。なんでも学院で仕込まれたこの生活術で父様の心を掴んだって聞いた。俺も少しはできるようになりたいと思う。


 長男のカザルス・バレンウッド、21歳は王宮勤めの近衛騎士団団長を努めているとか。炎の魔法への適性を表す緋色の瞳はいつだって情熱で溢れてる。部下からの信頼も厚く、なにより武術に長けている。強くてかっこいいから王宮の使用人にモテるとルーデン兄様に教えてもらった。


 次男のルーデンドルフ・バレンウッド、18歳はカザルス兄様につづいて、副団長を努めているとか。カザルス兄様を傍で支える大事な役目をしていると聞いた。水の魔法への適性を表す藍色の瞳は人を見る目だと父様は言っていた。ちょっとやんちゃでいたずら好きな兄様はよく俺と遊んでくれる。仕事の合間を縫って家に帰ってきてくれるのはとても嬉しい。


 長女のリリース・バレンウッド、19歳は魔術師団を率いる師団長らしい。

 19歳なのに師団長なので、結構狙われるらしいけどそれをことごとく跳ね返しているとか。母様と同じ光の魔法への適性を表す金糸雀カナリア色の瞳は最高色ではない。リリー姉様はルーデン兄様に先を越されたのが嫌で、最高色になろうといつも頑張ってる。


 次女のシルクド・バレンウッド、13歳は今、父様と母様、そして兄様もリリー姉様も通っていた魔法学院へ通ってる。自然の魔法への適性を表す裏葉柳うらはやなぎの瞳は人を癒す輝きを秘めている。兄妹の中で唯一の白銀の髪をしている。家族みんなで父様の家へ行ったときに産まれたからだと聞いた。雪のように白い肌と白銀の髪。そして裏葉柳の瞳はまるで御伽噺に出てくる妖精みたいに神秘的だ。




 俺の家族は今話したみたいにほとんど両親の魔法適性を受け継がなかった。受け継いだところといえば、全員が最高色になる可能性を秘めているということだ。

 長男、次男、長女、俺の四人はバレンウッド家の本家がある西の大陸で産まれたから髪はプラチナ色をしている。魔力量が抜群に多い俺らは2歳ぐらいから髪に色がではじめたらしい。我が家は全員魔法使いとしてかなり優秀な人材なのだといつだか家に来た父様のお客様に教えてもらった。

 そして俺は全魔法適性もちだから、家族の中でもずば抜けてるらしい。


 昨日は俺の瞳のことについて調べて全く収穫がなかったけど、今日は家族のことを改めて知ることができたという、満足感を胸に俺は寝床に着くのだった。

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