後編

気を取り直して…。

次はロシア産アヒージョの研究である。

ロシアは寒いので、とにかく温まるようなアヒージョが主流である。

濃口であるし、濃厚だし、味がとにかくしっかりとしている。

また、具材も寒いところであるため保存が効くものが多い。例えば、淡水魚などである。塩などで保存が効くようにするため、当然アヒージョも味が濃いわけである。

さて、ロシア産アヒージョなのだが、こちらも割とフレンドリーな感じではあった。しかしながら、なんというか一応警戒しているようで、こちらをすごい見てくる。そして、アヒージョでは珍しい行動をとった。

「こんにちは」

喋った。普通に日本語だ。

「こんにちは」

と返すと、笑顔を返してくれて

「ところで、あちらにいるのは私の姉妹たちでしょうか?」

と質問をしてきた。そのため、今はアヒージョの研究をしているため、少しだけはいってもらっていると説明する。

「そうでしたか。私達アヒージョはいろいろ個性がありますが、この姉妹は仲がいいので、少し疑ってしまいました」

という。申し訳ないことをしたなと思いつつも、とりあえずは研究だ。

とりあえず、パンを差し出してみるとロシア産アヒージョはそれを食べる。

というか、アヒージョ姉妹においてみんなパンは好きみたいで、つけて食べると美味しいっていうのを象徴しているね。

また、ロシア産アヒージョは他にも魚介、唐辛子、葉物野菜など結構いろいろ食べる。

スパイスはちょっと辛いほうが好きみたいだったし、唐辛子も結構食べていたのでおそらく辛いものが大好きなのだろう。

それにしても、モコモコな服装である。熱くないのだろうか…?


4人?4つ?4匹?のアヒージョの研究が終わって、4人?のアヒージョが談笑している。

ロシア産アヒージョが行っていたようにこの姉妹はとても仲がよく、よく喋るようだった。

いや、けどさ、なんで知らない間に増えてんの?

なんだろうか。いつの間にか自分が研究していないはずのアヒージョがいる。

とりあえずそのアヒージョに出てきてもらうことにした。

「なんで私を?」

とそのアヒージョは困惑していたが、間違いなく研究していないアヒージョであった。

「君名前は?」

と聞くと、彼女は「私はハーフアヒージョだけど…」と言う。

どうやら、日本産アヒージョと西欧種アヒージョのハーフらしい。

西洋のおしゃれさと、日本のスープがどうやらうまい感じにマッチしたらしい。それにしても、どうやって増えたのかがよくわからないが…。

食べ物の好みは、西欧種アヒージョと日本産アヒージョを網羅したものになっていて、旨味が多いスープと美味しい具材がぶつからないように上手に作ってあった。

ここまで来ると原種のアヒージョはもう薄まってそうだが、そうでもなく上手くまとまりを持っているのは原種のおかげということも明らかとなった。

原種アヒージョさんすごい。


さて、あとはフィリピン産アヒージョのみとなった。

どうやらこれは、原種のアヒージョをフィリピンの人が改良したようなもので、その独特な風味と香りはどこか南国の風を感じさせる。

爽やかな香りが心地よい。

だが、それはこのアヒージョが他のものと少し違うということも表していた。

パンが主流ではないらしく、あまりパンを食べない。

何を食べるかというと、にんにくやエビなどのもの。

どうやら、他のアヒージョとは勝手が違うようで、まだまだ研究が足りないようだ。

また、このアヒージョ割とよく飛ぶ。

アヒージョはどうやら少し飛べるらしいが、とくにフィリピン産アヒージョはかなりの飛行能力を持っていた。

いや、色々おかしいな。

そう思った瞬間眼の前からアヒージョ姉妹は消えてしまう。


なんだ、ただの夢だったのか。そもそも、アヒージョ何者だよ。

いやぁ、変な夢を見るものだな。

そう思いつつも、アヒージョが食べたくなってしまう自分がいたのだった。


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アヒージョ姉妹のすごいおいしい小説 なつみかん @natumikan72

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