光速の第一歩 その22
022
「なあ、ひとつ聞きたいんだけどよ?」
浅川さんは地面に仰向けに倒れこんだまま僕に問いかける。
どうやらもう立ち上がる気力もないらしい。
「何ですか?」
僕は聞き返す。
「俺でも、こんな俺でも、ヒーローになれるだろうか?」
それに対して、
「だから、なれませんよ」と、僕は突き放すように答える。
「……」
「でも、目指すしかないでしょう?」
「……そうだな」
そこまで話したところで、浅川さんの意識は落ちて、そのまま気を失ってしまった。
「頑張ってください。そんな役目はきっとあなたにしかできない」
当たり前だ。なぜなら、僕は残念ながらもう普通の人間ではない。ゆえに宇宙人である僕がどんなに夢を見せたところで、それは再現性のないまがい物の夢でしかない。
僕は、倒れこんだ浅川さんに背を向けると、そのままゆっくりとした足取りで、その場を去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます