光速の第一歩 その15
015
『発電所に何者かが侵入!!』
まだ完全には覚醒しきっていない頭でテレビをつけると、そんな見出しが朝のニュース番組から流れてきた。
「え? 昨日そんなことがあったの?」
ニュースによると、昨日何者かが発電所に侵入したせいで、一時的に停電が発生したらしい。
ちなみに僕に関して言えば、昨日は村雨と話した後、そのまま爆睡してしまったため、停電が起きていることすら気づかなかった。
「ええ。まあ幸いにも停電が発生したのは深夜だったみたいだから、時間帯的に特に大きな影響は出なかったみたいだけれど」
そうか、それはよかった。…………え?
「…………村雨、何で当たり前のように僕の家にいるんだ?」
もう今となっては慣れてしまったことだけれど、一応確認はしておくべきだと思った。(そもそも、こんなことが毎朝続くと心臓に悪い)
「何を今さら。私と久間倉君との仲でしょう? あ、もうそろそろ朝ごはんできるから席についてちょうだい」
僕の問いかけにもさもありなんと言った感じで村雨は答える。
驚いたり、ドン引きしたりという以上に、何となくなし崩し的にこの状況に慣れてしまっている自分が一番怖かったりする。
僕はすべてを諦めたような顔でテーブルの席に座る。
そして、調理を終えた村雨が朝食を持ってテーブルまで運んでくると、そのまま僕の向かい側の席に座る。――この席は、もはや村雨のいつもの定位置となっていた。
「ねぇ、そんなことより久間倉君」
「――ん? どうかしたか?」
「この発電所への侵入事件、私は何だか嫌な予感がするのだけれど」
「……気のせいだろ?」
そう言って僕は朝食に手を伸ばす。
村雨にはそんなことを言っておきながら、正直、僕も何だか嫌な予感はしていた。
――そして何度も言っているように、僕のこの手の勘は残念ながらよく当たるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます