光速の第一歩 その9

009


 村雨と夕食を食べていると、突然村雨のスマートフォンが振動する。


『――!?』


 僕たちはお互いに目を合わせる。


「……ニュースでやっている生物化学研究所よ」


「何でだ? これは超人とは関係ないただの火災だったんじゃないのか?」


「火災そのものは超人とは無関係よ。ただ、先ほど組織が確認したそうよ。『超人が誕生した反応』をね」


「超人が……誕生した?」


「ええ、こういう研究所で起きた事故が原因で新しい敵役ヴィランが誕生するというのはアメリカンコミックではよくある展開でしょう?」


「……悪い冗談だな」


「残念ながら現実よ。さあ、行きましょう」


「ああ」


 僕はなぜか嫌な予感を覚えながらすぐに超人化して研究所に向かった。


 残念なことに、大抵の場合、僕のこの手の勘はよく当たるのだ。

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