第7話

紙切れの住所をカーナビにセットし、現場へと向かう。


車を走らせて10分程度。


高級住宅街で知られる一帯を通り、やって来たのは一際大きな家。


車を路肩に止め、玄関へと向かうと、扉が開け放たれていた。




「鑑識課が来てんな」




 案の定、敷地の中から作業着を着た男が現れた。


鑑識課のイノウエである。




「おはようございます。 2階が遺体の発見された現場です」




 家の中へと入る。


階段で2階に上がりつつ、イノウエが状況の説明をしてくれた。


被害者の名前は式薫(18)


2階の自室で焼死体として発見された。




「第一発見者は母親で、いつも起きてくるハズの時間に起きてこず、様子見に部屋に上がると、既に焼け焦げた姿だったとの事です」




 母親は事情聴取の最中に倒れてしまい、先ほど病院に搬送されたらしい。




「死亡推定時刻は深夜0時で、その時間、家族はみんな眠っていたようですね」




(さすが、調べるのが早いな)




 鑑識の仕事の速さに、ロウは舌を巻いた。


ちなみに、今回は前回とは違い、隣人はいない。


家には防犯カメラが設置してあり、夜中に誰かが侵入した痕跡も残っていない、とイノウエは言った。


2階に到着すると、式薫の部屋へと入る。




「ムロ、お前はしゃしゃり出るんじゃねーぞ」




 部屋には勉強机、本棚、ベッド、服をかける棚がある位で、特別変わった部屋では無い。


突然、ムロが前へと出る。




「ほお、これが女子高生の部屋ですか」




 目をキラキラさせて、辺りを窺うムロ。




「おい、変態、今すぐ部屋から……」




 首を掴んでつまみ出そうとすると、ムロが言った。




「ロウ殿、私はこれでも魔法使いの端くれ。 私にしか分からない痕跡も見つけられるかも知れませぬぞ?」




「……」




 仕方なく、ムロをしばらく泳がせることにした。




(こんな奴に頼るのも情けねーけどな)




 ムロに手掛かりを探させつつ、ロウはイノウエに話を聞いた。




「式薫について、素性を教えてくれ」




「はい」




 死んだ式薫は、中々のお嬢様で、式家というのは遡ると式神使いの家系らしい。


高い魔力を有し、式家の人間は5つの式神を操る、とのことだ。




「現場に、こんなものが」




 イノウエがビニール袋をつまみ上げ、こちらに見せた。


中には、4枚のカード。




「式神を呼び出すカード、です」




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