138章
ルーザーは城の
風が吹き、白い髪が
「ずっと眠っていたせいか。ずいぶんと
さんさんと
そんな彼を後ろから見ている2人がいた。
ノピアとリンベースだ。
「信用して大丈夫なのでしょうか?」
リンベースが耳打ちをして、ルーザーに聞こえないようにノピアに伝えた。
「信用するしかないな。もう我々だけでは、
ルーザーが地下から起こされた後――。
ノピアは、彼とリンベース、そして動ける少年少女兵たちへ、現在の
ローランド研究所にいた
ロンヘアとアンが、城門の外で、ストリング帝国の城内に
その後、撃たれたはずのロンヘアが
だが、アンの必死な説得によって、ロンヘアは正気に戻ったが、その後――。
仕留めたと思われた大型の
ロンヘアはアンを助けるために、彼女を突き飛ばし、その身を
彼はもう助からないと
彼を失った悲しみが
そして、今まさにこのストリング帝国に襲い掛かって来ている。
ノピアは暴走したアンを止めるために、
特に反応らしい反応もなく、世界を救った老人はそれを引き受ける。
「私はどのくらい眠っていたんだ?」
どこか
リンベースはそんな彼を見て、「この男が本当に世界を救った英雄なのか?」と
彼女がそう思うのもそれはしょうがない話だった。
背は低く、枯れ木のように細い手足に、まるで生気が抜かれたかのような真っ白な髪。
どこをどう見ても、およそ
「そんなことよりもどうだ? 奴を止められるか?」
ノピアが冷たく
それから全身をほぐすように柔軟体操まで始め出す。
「無理だな。今城の外に待機させている子供たちは
それを聞いたノピアは、表情を
その横で、リンベースが不安そうな顔をして、何か言いたそうな顔をしている。
柔軟体操を終え、ルーザーが深呼吸をしていると――。
「ノピア将軍!!! リンベース
「街にいた住民たちは、すでに城へ避難しているので、戦うなら今かと」
城の
「あなたたちはたしかフェンダー家――モズ部隊長のところにいたストラ·フェンダーの
リンベースが笑みを浮かべながら、2人に優しく声をかけた。
「はッ! スクワイア家のジャガーであります!」
「同じくジャズです! 以後お見知りおきを」
よく似た顔をしている少年少女――ジャガーとジャズは、どうやら双子のようだ。
ルーザーは、そんな2人の肩に手を当てると、城の前にいる他の少年少女兵を引き上げさせて、この城の中にいるように言う。
「勝手な指示を出さないでください! 大体あなたは何を考えてそんなことを――」
だが、ノピアが手を出し、彼女を
「ジャガー、ジャズ。この老人の言う通りにしてくれ」
「はッ!」
「了解いたしました!」
そうしてスクワイア
「ノピア将軍! 兵も無しでどうやってここを守るのですか!?」
だが、ノピアは何も答えなかった。
ただ黙ったままスカーフの位置を直している。
「心配しなくていいよ、お嬢さん。とりあえず私が行くよ」
「あなた1人で守れるはずないでしょう!?」
リンベースが叫ぶと、ルーザーはニコッと笑った。
「とりあえずと言っただろう。私1人じゃない。少々待たなければならないが、
「何がやって来るんだ?」
ノピアが訊ねると、ルーザーはまた口角を上げる。
「君にはわかるんじゃないか、ノピア君?」
そう返されたノピアは、ルーザーの言う何かがこのストリング帝国へ近づいて来ていることを、たしかに感じていた。
「アンのために……もうすぐここへやって来る」
どこか嬉しそうに呟いたルーザーは、そのまま機械化したアンの元へと向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます