110章
ノピアとイバニーズがルーザーたちと会い、労働者や帝国兵を指揮して反撃を始めた頃――。
工場から出たアン、クリア、グレイの3人は、街の中にウジャウジャといる
「あの女ッ!! やはりルーザーの言った通り、意思を持った
襲い掛かって来る
それは、感情的にでもならない限りいつも表情が
「まあ、アンったら。あんなに楽しそうに」
クリアは、勢いあまって飛び出していくアンの後を追いかけながら微笑んでいた。
そして、横に走っているグレイの傍へと並ぶ。
「あなたに会えたおかげですかね。それとも私が知らないだけで、あちらがいつもの彼女でしょうか? ミスター·グレイ」
クリアは声をかけながら、
飛んでいく光の斬撃が、
「グレイでいいよ、クリア。アンは元は明るい
グレイも走りながら、手に持った大昔の散弾銃パンコア·ジャックハンマーで、的確に
正直、
だが、アンは
言葉に出しているわけではないが、その笑顔を見ればわかる。
彼女は、ずっと捜していたグレイとやっと会うことができたのだから。
ブレードを使って、向かってくる
彼女の中では“今の自分にはできないことなんかない”という思いで
「ずいぶんゴキゲンじゃない?」
毛皮コートを羽織ったドレス姿の美女――フルムーン。
腰まで届くロングヘアを
「ああ、おかげ様でな」
アンは周囲にいた
クリアもアンと並んで、2本の刀を
アンとは違い、怒気を含んだ表情だ。
だが、そんな2人を抑えてグレイが前に出た。
「やりすぎだよ、フルムーン。
アンは、フルムーンへ親し気に声をかけるグレイを見て
だが、クリアは違った。
彼女は、以前に2人が一緒に歩いているところを見たことがあるからだ。
「今さらですが、グレイ。あなたとフルムーンはどういう関係なのでしょう?」
クリアが落ち着いた様子で
アンは、そんな彼をジ~っと
クリアはそんな2人を見て、まるで浮気で
「あなたはアンの大事な人……。ですが、もしフルムーンに協力してこの街を操ろうとしていたのなら――」
そう言ったクリアは、グレイに刀を向ける。
アンが慌てて間に入ろうとすると――。
「うるせぇんだよ
フルムーンが大声で叫んだ。
「グレイ、その機械娘を
フルムーンの言葉を聞いたアンが思う。
……“ママ”だってッ!?
たしかストーンコールドも誰かのことを“ママ”って呼んでいたな。
グレイは、“ママ”という奴のことを知っているのか?
「機械娘もそこのクリアも
周囲に漂う蒸気――いや、フルムーンの身体から出ている粉がアンたちに
肌にヒリヒリするような痛みを感じた直後、その異変に気がつく。
フルムーンから放出された粉が
「さあ、動かない体に残された瞳で、恐怖に
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