24章
何が何だかわからないままアンは、牢屋に閉じ込められた。
武器や荷物は
アンは
そこは、アンがいる牢屋と何も変わらない部屋が並んでいる。
わかってはいたが、ここは捕らえた者を閉じ込めておく場所のようだ。
「マナ、ニコいるか!? いるなら返事をしてくれ!!」
アンが呼びかけるが、その声は
……ここにいないなら、マナたちはどこへ連れて行かれたんだ?
シックスもどこへ……。
アンが鉄格子を掴みながらうなだれていると、小さい声が聞こえてきた。
「おい、お前がアンだな」
アンは顔を上げて、その声の主を見た。
そこには坊主頭の男が、落ち着かない様子で立っている。
「誰だお前は?」
「し~静かにしろよ。俺はブラッド、シックスにお前を逃がすよう頼まれた」
「シックスは無事なのか!? それとマナは!?」
大声を出すアンに、ブラッドと名乗った男は小さい声で怒鳴るように言う。
「だから静かにしろよッ! 聞こえたらどうするんだよ!? まったく……。安心しな、そのマナって娘と電気羊は別ルートで逃がしてある。それより早く出るぞ」
それからブラッドはアンを
残るように言われたアンは、他の檻を見ていると――。
「どうしてこんなところに……?」
そこには
両手は
……キャス将軍……捕まったのか?
じゃあシックスの父親を殺したのは……?
でも、殺したのなら牢屋に入っているわけがない。
いや、あとに捕まったのか。
アンが考え込んでいると、ブラッドが戻って来る。
「よし、今がチャンスだ。行くぞ」
「待って、この人も連れて行く」
アンはブラッドに、キャスの檻も開けるように頼んだ。
ブラッドは、
「この人って、こいつはストリング帝国の女将軍じゃねぇか!? なんでこいつを助けなきゃなんねぇんだよ!?」
「このままここにいたら、この人は殺されてしまう。だから……」
「この女は殺されるようなことをしてきた奴だ。俺の仲間が何人この女に殺されたと思ってる!?」
「それを言ったら私だって……元は帝国の兵士だった」
ブラッドは、その話はシックスから聞いて知っていると答えた。
そして、アンとキャスの違いを言う。
「お前さんは、シックスが信用できる人間だと言ったからだ」
「なら、その私がこの人を助けたいと言っている」
「どんな理屈だよ!! っくそ! 言い争っている場合じゃねぇな。しょうがねぇ、そいつも連れて行くよ」
「感謝する。ありがとうブラッド」
「シックスの言う通りだ。無愛想なのに感情的で……」
「なにか言ったか?」
ブラッドは何でもないと言って、キャスの体をアンと共に
そして、無事にブラッドの部屋まで逃げ切ることに成功する。
部屋に入ると、こんな地下には似合わない綺麗な肌の銀髪の女性が現れた。
彼女はキャスをベットに寝かせるのを手伝うと、アンを見てニッコリと微笑み、お茶を入れると奥の部屋へいってしまった。
ブラッドは、アンに
差し出された椅子に腰を下ろしたアンは、部屋を見渡していた。
天井と壁には、ランタンがあり、テーブルや椅子、そして端にあるダブルベットにはキャスが寝ている。
圧迫感はあるが、思っていた以上に文明を感じさせる部屋だった。
「お腹が
穏やかな優しい声。
先ほどの銀髪の女性が、トレイにお茶とクッキーをのせて持ってきてくれた。
アンは頭を下げて自分の名前を名乗ると、女性はクスッと笑って、もう知っていると返した。
「あたしの名前はエヌエーっていうの。よろしくね」
エヌエーがいうに――。
ブラッドと彼女は、シックスの
物心ついたときからずっと一緒で、今でも3人は親友同士だと説明している。
その話を聞いてからアンが訊く。
「なぜシックスがあんな目にあわされているんだ? 仲間なのに?」
「それは……」
ブラッドが答えようとしたその瞬間――。
突然扉からノックの音が聞こえた。
ブラッドがアンに黙っているように合図を送ると、扉に向かって答える。
「誰だ?」
「俺だ! リーチだよブラッド!! 大変だぞ! 中に入れてくれ!!」
ブラッドは、悪いが、いま部屋の中が汚すぎて人が入れない状態だと返した。
訪問してきた男――リーチが言う。
「じゃあ、しょうがねぇ」
「それで、大変てのはなんなんだよ?」
「実はな、シックスの処刑が決定した」
それを扉越しに聞いたアンは、思わず立ち上がってしまった。
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