25章
物音を聞いたリーチが、ブラッドに訊く。
「おい、誰かいんのか?」
表情を
それから落ち着いて言葉を返す。
「いや、
それを聞いたリーチは、シックスの処刑時刻と場所を伝えると、扉の前から立ち去っていった。
扉の前からテーブルに戻ったブラッドは、
シックスは、
その結果、リーダーのバイオを
「裏切ったって……シックスはそんなことをする男じゃない! 実際にここへ来るまで私たちと一緒にいたぞ。そしたら彼らがやられていて……」
アンの言葉を
そして、アンを
「わかってんだよそんなことは!! あいつが裏切るような奴じゃねぇってことは、俺たちが誰よりも知ってる!!!」
そんなブラッドの肩に手をやり、振り向いた顔を見つめるエヌエー。
それからブラッドは、アンの方を見て頭を下げた。
「わりぃ、俺もなにがなんだかわからなくて……」
エヌエーは、そんな彼に寄り
アンはそれを見て死んでしまった仲間――レスとストラを思い出した。
……この2人もきっと恋人同士なんだろうな。
態度や
アンが懐かしさを感じていたそのとき――。
「ここは……どこだ……? 」
キャスがか弱い声を出しながら、目を覚ました。
そんな彼女に、アンが近寄って詳しい状況を説明し始める。
ここが
キャスはそれを聞くと、黙ってしまい、何も言わなくなった。
よほど捕まったことが悔しいのか、歯を食いしばっている。
ブラッドがアンとキャスに言う。
「ともかく、今はお前たちを逃がす。もうひとりの娘と電気羊はすでに海の向こうの
「そうか、マナとニコは無事なんだな」
ホッとした表情を見せるアン。
その横でキャスは、話を理解できずに顔をしかめ、
明らかに不信感がある顔している。
エヌエーがいうに、マナは「アンが一緒じゃなきゃイヤだ!」と
「あの娘、よほどあなたが好きなのね」
穏やかな笑みを浮かべたエヌエーの言葉に、アンは照れてしまい、つい視線を
それを見たブラッドとエヌエーは、クスッと笑ってしまっていた。
先ほどまで暗くなっていた空気が、少しだけ
だが、突然キャスがダブルベットから立ち上がり、扉へ向かって行く。
慌てたアンは、後ろから抱きしめるように体を掴んで言う。
「どこへ行く気ですか、キャス将軍!?」
「ええい、離せ!! 私は戻ってノピアのしたことを、軍に報告しなければいけないんだ!!」
「ノピア将軍もこの地域に来ているんですか!?」
「さっきからお前たちが話しているリーダーの死や、シックスとかいう男の処刑も全部ノピアが仕組んだことだ」
必死でしがみついていたアンは、それを聞いて思わず手を離してしまった。
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