第18話 スキンシップ

……ここは?

目を開くと、自分と同じくらいの少女が泣いていた。

自分によく似ている。

少女は誰かの名前を呼んでいた。

「ママッ! ……よかった。目を開けてくれた。死んじゃったんじゃないかと思っちゃったじゃないっ!」

女性は、自分に抱きついて、胸の中で泣いた。

柚木菜は、ぼんやりとした頭に、冷気が入るような感覚で、思考が奮い立った。

そうだっ。思い出したっ。

黒い人型の虫と刺し違えて、天国にいってしまったと思っていたら、ティカセが現れて、二口目のチーズケーキを食べ損ねたんだった。

じゃ、なくって……

天国だと思っていた場所で、みんなからの励ましの声を聞いて、力がみなぎって、復活することができたのだ。

 自分の胸の中で泣く少女は、我が子のこゆきだった。

 台風の主と自分から生まれた存在。生態的にはどうなのかよく分からないが、自分の子供には違いなかった。

「ごめんね、こゆき。心配かけたね。少しのあいだ寝ていただけだから。もう大丈夫だから」

 と、自分では言ったものの、改めて体を見回した。胸に深々と突き刺さった剣は、こゆきが抜いてくれたが、さすがに傷跡はと気になったが、少し青黒くなっていただけで、完全に塞がっていた。

 肩のバックリ開いた傷も塞がっている。

 身体は大丈夫そうだ。動かしても痛みはない。

 その上の衣類はさすがに破れていたし、血まみれだったから、これは着替えたいと思った。

 が、そんな時間の余裕もあまりなさそうだ。

 早くしないと、台風24号が上陸してしまう。

 それまでに、この地にいる、黒い、闇の存在をできるだけ掃除しないと……

「こゆき。ヒコーキはまだ飛べそうかな? あと、3エリアほど掃除をしなきゃならないんだけど、いけそう?」

「ママ、まだ戦うつもりなの? もう、無理しちゃダメだよ。これだけ闇の存在を駆逐すれば、パパの出力も少しは抑えられるよ」

「少しではだめなの。ほら、聞こえない? ママを呼ぶ人達の声。応援してくれる人達の気持ちが」

「……うん、聞こえる。サユキナってママのことなんだね。巫女姫って誰なんだろうね? 何だか聞いていて腹がたってくるんだけど……」

「まぁ、それはおいといて…… ママ達はみんなの希望なのよ。だから、その期待に応えなければならないの。そのためにここへやってきたのだから」

「でも、どうするの? ママのM134も壊れちゃったし、私のF35もちゃんとは飛べないよ。もう一回、パパに作ってもらう? それでも、あと3エリアの制圧は難しいよ。それにそこに集中しているってだけで、この地には数多く分散しているんだから」

 そうだね…… と、柚木菜は考えた。

 もう一度、ティカセに武器を作ってもらうために戻るべきか。武器があったとしても、この広大な土地の闇の存在を駆逐するには、時間がなさすぎる。

 再び、人型の虫に遭遇してしまったら、それこそタイムロスになってしまう。

 人手が足らない。二人ではさすがに処理しきれない。

「こゆきにお友達っていないのかな? こう、好戦的な、あなたみたいな人がいると助かるんだけどな」

「いるわけないじゃん。だって私、0歳三時間ってところだよ。いつ友達作る時間があったというのよ」

「そうよねぇ。いるわけないよねぇ。私だって、子供を作る時間なんてなかったのに、できちゃったんだからねぇ。そうだようねぇ」

 柚木菜にふと明暗がひらめいた。

 子供を作ればいいんだ……

 でもどうやって……

 柚木菜は、こゆきを見た。身長は自分と同じか、もしくは超えている。身体はもう立派な大人になっていた。

「……ねぇ、こゆき。生理って知ってる?」

「は? せいり? どこか整理するの? F35の中でも片付けするの?」

「ぅんん、違うの。でも、やっぱ無理か。相手がいないもんね」

「あいて? 何の相手?」

「そりゃぁ、決まっているじゃない。せ、せせせっく…… ぃや、忘れて……」

「ママ、顔が赤いよ。どうかしたの?」

「な、何でもないわよっ。き、気にしないでっ」

 ぅーん。さすがに我が子に、子供を産めなんていえない。相手だっていないし…… 

 そもそも、自分だって処女なのに、我が子にそれを越されるのも考えものだ。

 では、自分がもう一人の子供を産むか? もう一度、ティカセと関係を持つか? 関係? 

 美男子のティカセとのキスを思い出す。向こうからの提案だったとはいえ、もっとしっかりと、初めてのキッスを堪能するべきだったなと少し後悔した。

 もう一度キスを…… すれば、子供ができる。キスができる…… ティカセとキス……

 ぅーん。さすがに、この年で子供が二人なんて考えられない。しかも年子だ。いや日子とでも言うべきか……

 でも、キスでできた子だ、親権は向こうにもあるし、私が育てても別にいいし……

 だったら…… もう一度、あのキスができる。頭の中が真っ白になってしまった、感動のキスが……

「……ママ、なに悩んでいるの? いい案でもでたのかな?」

 柚木菜は妄想の世界に浸っていた。ティカセと二人でイチャつく世界を。それをこゆきの声で現実の世界に引き戻された。

「ぇ? えぇ。そ、そうなのよねっ、いやぁ、もう少し味方ができたらいいなって。パパが応援に来てくれたらいいなって」

「それは無理だよ。パパには責務があるし。勝手な行動はできないよ。だから、私達がこうやって独自に行動しているんだから」

「そうだよねぇ。頼んでもそれは無理だよねぇ。せめて私が分身でもできたらいいのに……」

「分身ならできるよ」

「は?」

「だから、できるって。分身」

「……できるんだ、分身。でも、どうやって? 影分身みたいなことをやるわけ」

「影分身? 何それ? 影ってなに?」

「そうか、こゆきはナ○トを知らないか…… それは残念だ。そういえばこの世界って影がないんだね。今さらながら知ったよ」

「ナ○トなんて知らないわよ。それよりやってみる? 分身」

 柚木菜は少し考えたが、今はそんな悩んでいる余裕はない。こゆきが提案したのだから、たぶん大丈夫なのだろう。

「いいわ。やるわ、分身。でもそんなこと、私になんかできるの?」

「今のママには、応援隊がいるから大丈夫だよ。日本全国からの応援だよ。この力はハンパないんだからねっ」

「こゆきはナ○トをしらないクセして、そんな言葉はしっかりと知っているんだね」

「最新の情報はちゃんとチェックしているんだよ。流行に乗り遅れたくないでしょ?」

「まぁ、そうだけどね。で、どうやって分身をするのかな。光速で動けって言われてもできないよ」

「動かなくたっていいよ。そのままでできるから」

「うごかなくってもいいの? このまま?」

「でも、少しだけ痛いから我慢してね」

「……ぇ? 痛いの? そうなの?」

「少しだけだから我慢して」

「……ぅん、わかった」

 痛いと聞いて身構えてしまったが、胸に剣が深々と突き刺さったときの痛みに比べれば、たいした問題ではないだろう。

 こゆきがすぐ目の前に座り、柚木菜の髪を手でなで始めた。

 肩まで伸びた黒い髪を、指で髪をとかすように何度かすくっていたが、ほどよく指で髪をつかんで、それを思いっきり引っ張った。

「痛っ!!」

 まさかとは思ったが、こゆきは20本程の髪を無理矢理引きちぎったのである。確かに、これは痛かった。

「痛たた…… 少しどころじゃなかったけど、とりあえず納得したわ。これが私の分身になるのね。そういえばあったわね、西遊記の悟空は自分の毛で分身を生み出している場面が。でも、これって切っても良かったんじゃないの? だったら痛くなかったのに」

 こゆきはむしり取った柚木菜の髪の毛を、指にぐるぐる巻き付けていくつかの輪っかを作っていた。

「切ってしまってはダメなの。縁が切れてしまうからね。今だってちゃんとつながっているんだよ。この髪の毛」

「へー、そうなんだ。ところで、それって、どうするの? 魔法でもかけるの? 私、知らないわよ」

 こゆきは柚木菜の髪の毛を器用に編んでいき、やがて一つの形になった。

 それは、柚木菜も見たことのある物だった。

「こゆき…… なに、それ。藁人形? その中に相手の髪を入れて、深夜に釘を刺すってヤツでしょ? それ」

 こゆきが柚木菜の髪の毛で編んでいたのは、小さな人形だった。形はまさに藁人形だ。柚木菜のつややかな髪でできた藁人形は当然真っ黒で、不気味だった。

 藁に髪の毛を入れるのではなく、髪そのものでできた藁人形だ。とても効果がありそうだ。べつの意味でだが……

「ぇ? ママの世界ではそんな習慣があるんだ。下の世界の人って変わっているね。これはそんな釘なんかは刺さないよ」

「じゃあ、どうやって使うの?」

「これは刺すんじゃなくって、入れるんだよ。ある意味、刺すんだけどね」

「入れる? 刺す?」

 小さな黒い藁人形に入れるとは、どういうことだろう。

 魂を入れる。命を入れる、吹き込むと言うことだろうか。

「そうだよ。入れるんだよ。じゃあ、入れよっか。ママ、ちょっと横になって」

 今、二人は高層ビルの屋上にいた。屋上にあるヘリポートだ。今は台風接近中でヘリは止まっていなかった。

 その床面は堅かったが、こちらの世界では、冷たさも特にないからから、苦には感じられなかった。

 こゆきは仰向けに寝かせた柚木菜の足下に座り、血まみれになったスカートを引きちぎった。

 その下には柚木菜のすらりと伸びた白い足と下着があらわになった。下着も血で真っ赤に染まっていた。

「きゃ! なになにっ!」

 突然のことで、柚木菜は首を起こした。今度はこゆきが、血まみれの下着を下ろそうとしていた。

 柚木菜はとっさに足を交差させ、下着を脱がされるのに抵抗した。 

「ちょっとっ! なにすんのっ! 恥ずかしいじゃないっ!」

「だから、入れるんだって。ほら、じゃまをしない」

「いれるって、ナニをいれるのよ」

「何って、ママ、さっきの話を聞いていなかったの? これだよ」

 こゆきの手には、小さな黒い藁人形が握られている。

 柚木菜はなんとなく理解した。理解はしたくなかったが……

「ほら、早くしないとパパが来ちゃう」

 こゆきは下着をつま先まで下ろすのを諦め、しっかり握るとそれを引きちぎった。

「きゃぁ! ちょっと待ってっ」

「だから待たない。……なに恥ずかしがっているのよ。女の子同士じゃない。それに親子よ」

 こゆきは股下に座り、柚木菜の股間の谷間に黒い藁人形を突っ込んだ。

「ァッ!」

 柚木菜は思わず悲鳴を上げた。自分の髪の毛からできた人形とはいえ、自分の一番感度の良い場所に入ってきたのだ。

 ゴワゴワした感触と少しチクチクした刺激は例えようのないものだった。

 そもそも、そこにモノなど入れたことはなかったから、なおさらだ。

「ぅーん。入らないね。ママ、もうちょっと力を抜いてよ。全然入んないよ」

 こゆきは、股間の谷間に藁人形を入れようと、グイグイ押し込んだが、なかなか入らない。

「ンンッ! ま、まってっ! もっと優しくして、い、痛いっ!」

「少しの痛みなら我慢できるんでしょ? もうちょっと頑張ってよ」

 こゆきはさらにぐりぐりと押し込んだ。

「痛ッ! ちょ、ちょっと待ってっ。ちゃんとやり方があるんだからっ!」

 柚木菜はたまらず上半身を起こして、こゆきの手を取った。

「やり方? そんなのあるの? 入れるだけなのに?」

「こゆきは、そういうことは知らないんだね…… ママはね、処女なの。あなただってそうでしょ? だから、簡単にははいらないのよ……」

「じゃあ、どうしたらはいるの?」

「どうしたらって言われてもなぁ……」

 柚木菜は自分の子に教えていいのだろうかと考えたが、ここはしょうがない。

「女はね、ここに何かを入れるには、自ら潤滑剤のような体液を出さないといけないの」

 こゆきは首をかしげた。すでに自分より大きな我が子が、こんなことで不思議がるのはなんとなく可愛いかった。

「潤滑剤? 私でも出るのかな? どうすると出るの?」

 本当にこんなこと教えていいのだろうか……

 すでに大人の身体のこゆきはきっと反応するだろう。

「……きっとこゆきも出ると思うよ。やってあげようか?」

「うんっ。やってやって」

 ボタンを押すと、どこからか液体が出てくるとでも思っているのだろうか……

 柚木菜はこゆきを自分の正面に座らせると、服の上から胸の膨らみを触った。

「ぁっ……」

小さく吐息を漏らしこゆきは身体を震わせた。

柚木菜はさらに手を押すように胸の弾力を確かめ、そして揉んだ。

「ハァッ! マ、ママッ、か、感じるっ……」

「……こゆき、私より大きいわね。Dカップはあるわよ。感度も良さそうだし……」

両手で二つの膨らみをもてあそぶと、その度にこゆきは身体を震わせた。

反応すると顔を歪め、喘ぎ声を漏らした。

自分によく似た我が子を見ていると、自分が感じているのかと錯覚してしまう。

反応の良さに、思わず動かす手も早くなってしまう。

服の上からでこれならと、今度は服の中に手を入れて、直接触った。

膨らみの先端にある突起箇所を、指で挟み一緒に揉みしごいた。

「ハッハッ…… ァァッ…… ママッ、私、なんだか変になっちゃいそう…… ンンッ!」

「どう? そろそろ潤滑剤が出ているんじゃないかな? わからない?」

こゆきは身を悶えさせ、荒い息をしていた。肝心の場所のことなど、わからない様子だ。

「……わっ、わからないっ…… ど、どこから出るのっ? ァッ!」

「こゆきは思ったよりも大人だから、もう、きっと濡れ濡れだよ。ほら、ここだよ……」

 柚木菜はこゆきの股間に右手を伸ばした。足と足の間に手を入れて、やがて奥の谷間に指をたどり着けさせた。

下着を着けていたが、指先の感触で湿っているのがわかった。

指を谷間に押し付け、下着の上から擦りつけた。

こゆきの身体が跳ね上がるように反応した。

さらに擦り続けると、湿り気が一気に広がった。それはもう、湿り気ではなく、完全に濡れていた。

「こゆき? わかるかな? これが潤滑剤が出ている状態よ。下半身が熱いでしょ? どこをどうするとこれが出てくるか理解したかな?」

柚木菜は、右手の指を下着の下に潜り込ませ、谷間に直接指を入れた。そして、柔らかい谷間の少し上の、少し硬い小さな突起物に、指の腹を滑らした。

「ハァッ! ァァァッー! ダメッ凄く感じるっ! ァッァッダメッ、アーーーッ!!」

こゆきは、荒い息とともに身体を反らせて絶叫した。

「……どう? わかったかな? これが女の悦びよ。実は私もあんまり知らないんだけどね。私より一足先にィっちゃえるなんて幸せ者ね」

「はぁはぁはぁはぁ、ママッ、こうすることで潤滑剤が出るのね。へんな構造…… でも、ママとスキンシップが取れて、いいねっ!」

「……まぁ、何事も経験ってやつよ。こゆきのお相手さんなんて、もしかしたらいないのかもしれないからね。せっかくだから、経験させておかないとねっ」

柚木菜は苦笑いを交えて、こゆきに説明した。

「ママ、ありがとう。凄くいい経験だった。凄く気持ちよかったしね。じゃあ、今度はママの番だね」

柚木菜は凍りついた。そうだった。こゆきがあまりにも感じてくれたから、楽しくなって調子に乗ってしまった。

本来は私がアレをアソコに入れるための実習だったのに、こゆきをついついィかせてしまった。

まぁ、ぃいっか……

「……はは、じゃあ、優しくしてね。強くすると痛いから……」

「ぅん。だいじょーぶ。ママもいっぱい感じてねっ!」

「ははっ…… そうだね……」

柚木菜は苦笑いしか出なかった。




こゆきの手つきは最初は手荒だったが、柚木菜の表情と身体の反応を見て、次第にコツをつかんでいった。

胸を撫で回し、揉んで、突起部を舌で舐め、同時に下半身の谷間も優しく撫でていった。

柚木菜の下の谷間はすでに洪水気味だったが、こゆきは秘所を飽きることなく撫で回した。

柚木菜の喘ぎ声は、こゆきを刺激して、さらに動かす手の練度を増していった。

何度か柚木菜の絶叫を聞き、タイミングを見て黒い藁人形を下半身の谷間に入れた。

最初こそは入らなかったが、谷を上下させることをしばらくやっていると、次第に奥まで入っていくようになった。

その度に柚木菜は声を上げた。

藁人形がようやく入ると、さらに中指と人差し指で奥まで突っ込んだ。

柚木菜は身を反らせて息を荒らげた。

ようやく、ことは終わり、こゆきは優しく柚木菜を抱きしめた。

「ママ、終わったよ」

柚木菜はいまだに肩で荒い息をしていた。

しばらくして、呼吸を整えると、ようやく言葉が出てきた。

「はぁはぁはぁ、こゆき、凄かったよ。もう、何回ィっちゃったのかわからないよ」

こゆきが怪訝な顔をする。

「私、どこにも行っていないよ。ずっと一緒にいたでしょ?」

「ははっ…… そうだね、どこにもィッていないか…… ははっ……」

「それにしても…… ママ達の世界の人達はこんなことをしているんだね。羨ましいな。またしようねっ。親子ってサイコーっ!」

ぁぁ、ぃゃ。違うんだ、こゆき。こういうことは親子ではやらないし、女性同士でもやらないぞ……

「ははっ…… そうだね。またやろうね……」

今日何度目の苦笑いだろうか……

ついでに言えば、初めてのエッチは17歳で、お相手は同じくらいの歳の女の子……

さらに言えば、お互い処女で相手の人は自分の愛娘だ……

しかも、今のエッチで妊娠ときた……

ぉぃぉぃ、どうなってしまうのだ、我が人生……

それに対して、こゆきは弾ける笑顔を振りまいていた。

「ママとのスキンシップって、もう、サイコー! 昇天するってこういうことなのねっ!」

柚木菜は頭を抱えた。

 我が子に、初めて手取り足取り身をもって教えたことは、女の悦ばせる方法だった。

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