『1984』はいつ来るのか?

ネコ エレクトゥス

  1984年が近付いてるってのは不思議な感覚だ

 データ放送なるもので天気予報を見ようとNHKをつけたら「AI時代の社会の在り方」みたいな討論番組をやっていたのでそのまま少し見ていた。


 日本人一人と欧米のその道の専門家が参加していたのだが、話が「先進国とそうではない国の人が共同して仕事することができ、その仕事に対し同じ給料をもらうことができる」とか言ってる間はよかった。それにしても同じ給料をもらったから何だって言うんだ?日本での時給千円は途上国では金持ちだ。では時給三百円にするのか?全くああいう人たちはお気楽だ。

 だが「AIは人間の仕事を奪うのか」という議論になった時に、ヨーロッパの代表の一人が気になることを言いだした。

「私の国ではある人が仕事を失いそうになった時、そういう人をAIによって探し出して再教育し、仕事を斡旋するシステムを構築する予定です。」

 探し出して再教育……。

 巨大な機構がそれをやることが『1984』じゃなくて何だって言うんだろうか。しかもその発言をした人はいたって真顔で自分の発言にまったく疑問を抱いていないらしい。狂信者。

 Big brother is watching you.

 聞いててイライラしてきたんでテレビを消した。


 僕だってAIが生活の中に浸透してくることに全て反対な訳ではない。いつかは僕だってその恩恵を受ける時が来るだろう。だがAI時代は全ての人が平等なユートピアになり世界は正しい方に向かうかのようなああいう議論には反対だ。AI時代にはAI時代の格差ができるだろう。その中で「探し出して再教育」もあるだろう。しかしAIの恩恵を被ることが少ない人が不幸かというとそんなことはない。人間の幸福はまた別な所にある。

 世界全体がこの流れに乗っかってすんなりいくとは思えないのでこの先間違いなく一波乱あるだろう。ただ圧倒的多数の人たちはその流れに乗っかって、うまい思いをしたかと思えば悲しい目にも遭い、暮らしていくんだろう。今までと同じように。



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