第6話 登山に行ったら犬にうんこをつけられた

今日は名誉教授の企画で福島の安達太良山に来た。キャンパスに朝早くに集合して車で移動だ。ちなみに先生の愛犬も一緒。高速に乗って数時間くらい。ただ車に乗ってるだけだけどちょっと疲れる。


10月なので季節は秋だ。山の木々の紅葉を楽しみながら山を登ろうっていう企画である。結論として、この日は紅葉を楽しむどころではなかったし、それよりも印象に残る事件があったから、キャンパスに着いて研究室に戻ってからも殆ど「キムラくんが、犬にうんこをつけられたw」ということしか話題に登らなかった。


安達太良山で何があったのか?それを話していこう。まず山に登るところから話は始まる。どんなルートで登ったのかはもう覚えていない。なにしろ5年以上も前の話である。安達太良山に登るにあたって、まずはロープウェイに乗った。標高が1728mにもなる割と高い山である。ロープウェイに乗って途中まで登って、そこから足で歩いた。で、このロープウェイなのだが、進行方向と逆向きになってたからなのか、その日の体調なのかはわからないが、酔ってしまった。登山が始まる前に体調を崩したのだ。ロープウェイが着いたところにトイレがあったので個室でゲーゲーやっていた。後輩に個室のドアをノックされてどうにか出てきた。なんとか落ち着いて山を登ったのだ。


さきほど標高に触れたが、割と高い山で、登るだけでも割と時間がかかった。ある一定以上の標高になると、風が吹きすさび、木々が無くなり、岩場になった。ここで昼食を摂った。ちなみに僕の体力は上りで尽きていた。だから正直、下山前に一度眠りたかったのだが、そうもできなかった。わんこや先生、後輩たちと一緒に下山である。下山途中、この日最大の事件が起きた。


山を下る途中、少し開けた場所で休憩する事になった。みんなで腰をおろし、飲み物をのんだりおやつを食べたりして談笑していた。ところが、先生の愛犬が茂みの中に消えたのだ。「おーい、どこ行くんだ!?」と呼びかけて、わんこは戻ってきた。その時、僕にぶつかったのだ。どん、と音がしたのを覚えている。これで怪我をしたわけではない。犬がぶつかった所を観ると、灰色のウィンドブレーカーが茶色くなっている。友人たちもそれに気づいた。どうやら茂みの中になにかの糞があったらしい。わんこの顔にも茶色い物体がこびりついている。どうやら糞に顔を突っ込んでそのまま戻ってきて僕にぶつかったらしい。洗濯で落ちるだろうか?そもそも共用の洗濯機で何かの糞がくっついてしまった服を洗って良いものだろうか?という疑問が脳裏によぎった。というわけで登山に行ったら犬にうんこをつけられてしまった。


この日、起きたのは「キムラくんが犬にうんこつけられた」事件だけではない。話はこれで終わらない。下山して、駐車場に戻った後、僕と先生はそれぞれ、先生の車に積んであった犬用の洗剤で先生は犬を、僕はウィンドブレーカーを洗った。一人だけ汚れを落とす作業があったので、僕が帰りの車では一番最後に乗り込んだ。みんなが待ってるのもわからず、のんびりと抹茶アイスを買い、頬張りながら車に戻ると、「みんな待ってるのになにアイスなんて買ってんの。」ということを言われた。すまない。さて、車が走り出すわけだが、体力の尽きていた僕は即、車に酔ってしまった。発進して5分も経過していなかっただろう。さっきまで(*^^*)で抹茶のソフトクリームを食べてたのに、今や緑色の液体を口からリバースしていた。「3分前まであんなニコニコしてたのにw」と言われた。その後、ぐったり眠っていたようで、途中立ち寄ったSAに着いたところと、研究室に帰ってきたところしか記憶にない。お腹の上にわんこの足を乗せられて助手席でグロッキーだったのだ。


キャンパスに帰ったら、友達に、「キムラくんが、犬に、うんこつけられたw」と顔を真赤にして言われて、笑いを提供することになった。ちなみに、登山の途中で僕の足元だけ崩れて足首を痛めたりもした。


この日以降、「キムラくんが居ると面白いことがおこる」と認識されて、次回以降の山登り企画には、「キムラさんが行くならいきますよ。どうします?」と訊かれるようになった。院試前は断ったが、それ以外は割と参加してたきがする。というわけで、登山に行ったら犬にうんこつけられた話と、車に酔った話でした。


たとえ恥ずかしいことでも、ネタになるのだ。それでも、生きていかなければ。

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それでも アカイレイ @kimryo

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