第4話 うつになったからか感情が死んだ話

いつからだろうか。喜怒哀楽の哀以外の感情が死んだのは。社会人になってからではない。おそらく学生の頃にうつ状態になってからだとおもうのだけれど、いつからか感情が死んでしまって、楽しいとか嬉しいとかっていう感情が惹起されなくなってしまった。多分、燃え尽きてしまったんだろう。大学院入試の試験勉強で追い込みすぎたのが一つの引き金かな。そして研究に朝11時頃から毎晩24時頃までかけたのにそれでも進まなくて死んだ目をして過ごしたことも。


振り返ってみると、理系の道に進んでいこうずっとやりたい事とできる事ととのギャップ、理想と現実、そういった中でもがいていた。でもこれ以上足掻けなくてどこかで休まなきゃいけなかった。だから休学して空白ができたのは結果的には良かったと後になって思う。きっと高専入学以降、無理してるところがあったのだ。


そして学生時代を終えて社会人として働いてみて、無機質になっていく自分を感じた。それは職務上必要な事以外は喋らない、下手するとコンビニの店員としか会話しないといった非人間的な日常を生んだ。職場の人との血の通ったコミュニケーションなんて取れなくなってしまった。


心を無くし、感情を失って、それでもアニメを観てると心に感じるものがある。登場人物が居なくなったり、むごい状況に陥っているのを目の当たりにすると涙を流さずには居られない。ただこれも哀の感情が出てるだけで他の感情は見られない。だから、いつからかエグいアニメを求めているところがある。


一方で、アニメを観ると落ち込んだり遊んだりした気持ちも穏やかになる。だからアニメは観る抗うつ剤なんだと思う。ローテンションのときにあえて重い内容のアニメを観るのもいいけど、頭を空っぽにして観ることができるゆるふわ日常系もいい。感情が死んだままでもぼーっと眺めていられる。


感情は死んだまま、時は過ぎる。そして僕はモノクロの現実を視る。


それでも僕は生きていく。壊れた心を抱えながら。

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