トイレットペーパーくらいには役に立ちたかった

人の役に立つ

男に成れと、

みんなが言った。


ランドセルに忍ばせた先端が、

背を、突く

トイレでの生活にも慣れた頃

唯一の友だちは、

トイレットペーパー

私は彼に、

鳥獣戯画の絵を

描いて遊んだ


「男の感傷や弱音程醜いモノはこの世に二つとなく、ただただ聴衆の嫌悪を煽るだけであり、それは貴様の糞の如く異臭を放ち、その匂いは貴様の身体の隅々にまで浸みこんでいて不快極まりない貴様はもう誰の役にも立たないどころか今すぐにでもトイレに流してしまいたい」


見知った男が、

鼻をつまんだ。


トイレットペーパーに描いた絵の中に、

人の姿はなかった。


私の唯一の友だちだった。


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