一月の冷笑

また今年も

目を開けた。

新年の挨拶が途絶えて

幾年の月日が流れたのだろう

交信を絶ったのは、

私だろうか、

一月に、嗤われた気がした。


男の感傷ほど、

聞くに堪えず、

見るに堪えないものはないと、

親しい誰かに教えられた。

親切

ならば抜け落ちるこの頭髪と、

下腹部に沈殿する恥とは、

涙と共に決別すべきだろうか。

檻の中にいる、

あの物哀しいごりらのように。


元旦を楽しめないのは、

不幸だ。

冷笑されても仕方がない。

私は賑わう雑踏の沼に沈んで、

感傷を殺した。


血はしたたることもなく、

ただただ、

肉の裂けた音が聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る