好きな作品が死んでいくときの感情

無限にも思える世界がそこにある。

その全てが世界である。

にもかかわらず、

その一部だけが光となって網膜を刺激する。

無限にも思える、天の星々の光。

その全てが、それらなりの世界を形作っているだろう。

にもかかわらず、

その一部だけが私を温める。

見えない無数の影たちは、私の世界に存在しない。

遠すぎて見えないもの。

光が遮られているもの。

小さすぎるもの。

光が弱すぎるもの。

時期があわないもの。

時代があわないもの。

私の空には迷えるほどの光たち。

迷わないことはできない光りたち。

迷ってるうちに干からびてゆく日々。

迷うことも楽しんだ日々。

迷い見落とした後悔。

きれいに乾いた卵の殻を見つける虚しさ。

殻を拾い集めて、何がかえるだろうかと想像する悲しさ。

殻すら生まれない。自己満足すら産まずに老いていく鳥たち。

ありえたかもしれないそれら。

そこの知れた可能性たち。に踏まれるそれら。

私の心の空白に、それらの殻を貼り付けていく。

白い白い殻を。

ふと溢れ落ちた白い粉が、私の網膜に潤いを与えて去っていく。

ああ。死なないで。

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