何もできなかった日の感情
夜の懐の深さに泣いた。
すべてのやり残しを、しとやかに抱いてくれるこの夜の空気に包まれた。
希望の温もりに泣いた。
無念をかけて眩しさを消しても、ほのかに明日へ誘われた。
窓に映った自分に泣いた。
部屋の明かりが映し出す自分は、他人事のように室内を見つめていた。
胸の内側から吹く北風に泣いた。
指と指の間を流れる雫に泣いた。
文字にも絵にもならないキャンバスに泣いた。
演説にも歌にもならない喉の震えに泣いた。
あらゆる言い訳を涙に溶かし込む自分に泣いた。
いつかの涙も有象無象の塩水に成り果てた。
悪意の膿も無数に積み重なって石になった。
成長できない自分が嫌になった。
変化を止められない自分が嫌になった。
白紙の枚数を数えられなくなった。
大量の付箋が指を撫でた。
朝の眩しさに泣いた。
あらゆる無念を無常に変えるレーザーに焼かれた。
太陽の熱さに泣いた。
光合成できない自分に泣いた。
上から降る誰かの悲しみに泣かされた。
ぐちょぐちょになった靴の気持ち悪さに泣いた。
僕は泣いた。
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