第20話 ミエナイチカラ
ㅤ陽太と二人で図書室に向かった。もう閉めるというところをお願いして、慌てて本を探した。
ㅤ探す本は、いつか死の授業で教わった「すべては、星のように生まれ、星のように死ぬ。」で始まる本。ある研究者によって書かれたという。
ㅤ死の教科書には引用元の本の名称や出版社名も載っていた。その情報を元に探すものの見つからない。
ㅤ貸し出し中なのかなと思いつつ探していると、司書さんに「何を探してるの」と声をかけられた。ここは素直に答えると、「それなら
ㅤただ。教科書に引用されて、入学式では校長先生の話にも引用された本が学校にないのは不思議に思えた。その理由までは司書さんに聞かなかったけど。聞いても正確な理由は返ってこない気がしたし、あまり踏み込んで、ぼくたちが本を探してる理由を問われても困る。生の先生に話しちゃダメなら、司書さんもダメなんだろう?
ㅤとりあえず今知りたいのは願の居場所。そこに繋がる情報。司書さんにお礼を言いつつ図書室を後にして、早速図書館に向かった。が。
「閉館中、ね」
「ね」
ㅤ陽太がガラス扉に引っかけられた札を読み上げる。その下の張り紙を二人でまじまじ読む。そして陽太は呟く。
「次開くのは四月か」
「か」
「これは何かの陰謀か!?」
「たぶん違うと思う。このままずっと開かなかったりしたらアレだけど」
「じゃあどうするよ。他を探すか?ㅤ どっかで買うか?」
「それもいいけど……」
ㅤぼくらはこの図書館に来る前、願の住んでいたはずの場所を
「願は待ってくれる気がする」
「えぇ?」
「夢で見たんだ。必死に逃げる、あの子の姿を」
「お、おぉ」
「ひとりが嫌だって言ってた。あの夢には、ぼくもいたのに。でも、今はもうひとりじゃない」
「う、うむ……」
「助けてって言ってくれた。その先にぼくがいて、陽太もいる。きっと、助けられるんだ」
「すまん、それはいいとして、今は一刻を争う状況じゃないんか?」
「桜の季節にまた会える」
「今度はなんだよ」
「直感」
「マジか」
「たぶん、来る時が来るまでは、何をしても話は進まない。だけど、準備することは大事だ。ぼくは休みの間、少しでも強くなりたい」
ㅤ正直、この辺りでぼくが陽太に話したこと。覚えはあるけど、変な意識。ちゃんと自分の意思で話してるはずなのに、勝手に口が動くみたいな。運命か、夢か、願か、桜か。見えない何かのチカラを感じている。
「わかるようでわからんけど、じゃあオレは色々調べてみるわ」
「お願いします」
ㅤというわけで、休みの間、陽太は調べ物、ぼくは願を助けるためのチカラを得るため、自主練することになった。
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