第9話 運命と夜

 ㅤ夜。窓の向こうには流星雨。こうしてぼくらは生まれたらしい。覚えてないことは多いけど、ぼくは今生きてる。


 ㅤ布団に入って目を閉じる。ぼんやりと、願の笑った顔が浮かぶ。急展開の一日だったな。願に対して溜まってたストレスも、思い違いだってわかったし。少しは仲良くなれたかな。


 ㅤ変な子だって思ったけど、案外普通の子だとも思う。遠くからだと、なんであんなに物静かに見えたか不思議なくらい。って、今もだいぶ静かだけど。そういうことじゃないんだ。


 ㅤうまく説明できない。誰に説明する必要もないけど。ようは今後もコミュニケーションとれそうって感じ。次の席替えがあるまで日直含めて縁がありそうだし。


 ㅤそもそも日直だからって願のところに行かされたのが始まりだけど、何で席替えをキッカケに日直が二人になったんだろ。ウサギの飼育をサボりにくくするためとか?ㅤ わかんないけど運命か。運命のいたずらか。たいした意味もなく、日直だからアレやれとか、クジで決めた席に座れとか、そんなふうに人生は決まるのかなぁ。そしてそれを運命と都合良く受け入れて進む……こんなこと考えてたら眠れない。


 ㅤ死ぬときは死ぬ。死の授業の先生が言ってた。それはむごい悲劇を思わせるようで、気が楽になる言葉な気もする。


 ㅤもしも、誰もが願いを叶えられるまで生きられるとしたら。そんな希望を抱くことは、辛いことなのかもしれない。おやすみ。

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