第2話 運動会のマスゲームで1人、反抗して座り込む者

私があの方の名前を初めて聞いたのは、高校1年生の9月。

運動会のマスゲームに向けて実行委員会で話し合っていた時だった。


「こういうマスゲームのとき、1人だけ協力しないで座り込んで

目立っちゃう奴がいるんだよね、例えば彼奴(あいつ)とか」

「あの人??? 私、わがままで怖くて大嫌い!」


私は誰もに嫌われている「その人」に興味を持った。


運動会のマスゲームで1人、座り込む奴・・・

どんな人でしょう???


皆、マスゲームの振り付けについて真剣に話し合っているけど

本心を言えば、誰だってかったるい。

ただ教師に言われてやっているだけ。

皆でわいわい言って練習するうちに気持ちは盛り上がるが

本当に楽しんでいるとは思えない。

本当にやりたいことなのか。


そんな中で反抗して座り込む人ってどんな方???

会ってみたい・・・


残念ながら運動会本番では、その人は座り込まなかった。

だから「その人」が誰なのかは分からなかった。


ただ私の心には「その人」の名前が刻み込まれた。

恋ではない、淡い関心。


そして数日後、その人が書いた文章を読むことになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る