第18話 ある日の幸崎美麗 2
そんな、嘘よ……!!
少女は、耀が消えていった建物を茫然と見つめながら、身動きすることすらできずにいた。
耀が汐里の家に二回泊まったのは知っていた。
最初はかなりショックを受けたものの、外で見張っているうちに、怪しい物音もしないし、少女が心配するような行為には至っていないのでは? と、思うようになっていた。
何よりそう確信できたのは、汐里の耀との距離感が変わっていなかったからだ。
恋する少女は、敏感なのである。
が、これはダメだ!
ラブホテルですることと言えば決まっている。
まさか、カラオケをしに入った訳ではないだろう。
私の耀君が年増女に汚されてしまう!
一人でラブホテルに入ることもできず、少女はジリジリした思いで建物を見つめた。
二時間たっても出てこない。
まさか泊まり?
こうしている間にも、耀の素肌に自分以外の女が触れているかと思うと、脳ミソが沸騰してしまうんじゃないかというくらいの怒りに襲われる。
さらに一時間後、耀と汐里がホテルから出てきた。
二人はしっかり手をつないでおり、汐里は耀に寄り添うように身体を預けている。
それを見た途端、少女は理解した。理解したくなかったが、わかってしまった。
ヤりやがった!
今まで、耀の恋愛はことごとく潰してきた。
違う女子との噂を流したり、彼女と友達になって、あることないこと……というか、ないことないこと吹き込んで、関係を持つ前に破局させてきたのだ。
今回は、汐里が年上過ぎたせいもあり、本気で耀が惚れるとも思えず、また汐里に付き合ってないと聞いたことで、安心してしまっていた。
絶対に別れさせてやる!!
少女は耀達の後をつけるのは止め、スマホに手を伸ばした。
牧田伸二。
……この男ならきっと協力してくれるはず。
汐里の元見合い相手だった。
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