第25話 先輩狩猟者の援護 上
『カンナ』より、40キロ程離れた赤い大地にある小さなオアシス…。
朝方の出来事であった。
トイレに起きたゴブリンがゆらゆらと歩きながらテントから離れ、少しばかり生い茂っていた草へイチモツを出した時に…ヒュッと空気を切り裂く音と共に、細い首に矢が貫通し、目玉を大きく開いたゴブリンはその場に倒れ込んだ。
その音に目が覚めた別のゴブリンは、テントから出ると辺りを見渡した。
隣のテントでは、女が喘ぐ声が聞こえてくる。
その中では、まだ発育途上の犬のイィ・ドゥの少女が、四つん這いになってオークに性行為を行われていた。
少しばかり膨れ始めた胸を鷲摑みにして、巨大なイチモツを、まだ熟しきっていない膣口に捩じり込み腰を振っている。
膣口からは大量の血が流れており、その血で少女の下一面が真っ赤になっていた。
少女の前方には、カンガルーの亜人が、イチモツを少女の口に捩じり込んで腰を振っている。
少女の傍らには、顎が外れ、目を大きく広げ、股間が腹まで裂けているネコのイィ・ドゥの少女の死体が2体、転がっていた。
そのテントを見ていたゴブリンは、横たわっている形に目を細めた…とその時、後ろ手に誰かに掴まれたと思った瞬間に、首辺りが熱くなるのを感じた…。
そして、その首から流れていると思われる真っ赤なモノが、自分の腹を染めているのに気付くと背後に感じる、凍てつくような視線に、小さく向きを変えた。
そこには真っ黒の布を顏半分を覆った人間が、冷ややかな目で見ている。
声も上げる間もなく力が入らないゴブリンは、そのまま白目をむいて気を失い、小さく肩で息をつくと、そのモノの手の中で絶命をした。
そのモノの向こうでは、数人の者が、行為を行っていると思われるテントを囲み、武器を向けている。
その者らを見て、ゴブリンを放り投げて小さく頷いてみせると、テントを囲んでいた者らが、一斉にテントの中に入り………。
少し大きめのテントから、何かに気付いたオークが出て来たのを確認すると、一同が入ったテントを一度見る。
そのテントの中では、大きな音と悲鳴が聞こえたが、時間をかけずに収まり、中に入ったモノは体を真っ赤に染めて出て来た。
その姿を見てから、冷ややかな視線のモノは、腕組みをして、オークに向かって進みだした。
オークは、テントから出てくると、目の前にいる冷ややかな目をしている者に気が付き、辺りを見渡す。
そこには、倒れているゴブリンが2体に、仲間が寝ているテントから体を赤に染めた者らが出てきている…そして…!と思った瞬間に、こちらに向かって来た者が駆け出してくるのに気付いて、テントの中に入り武器を手にした時…。
背後から見下ろされている事に気付いた。
「…悪いな…こう言うのは、あまり好きじゃないんだが…」
男の声が背中の向こうから聞こえる。
オークは目を見開いて次の動きを待つが…、動かない。
ただ見ているだけ…、だが、その視線は…。と思った瞬間「
テントの中を転がる首と、猛々しく湧き上がる血を冷ややかな目で見ている者は、振り返り辺りを見渡した。
テントは4つである。
オークを狩ったテントと性行為をしているイィ・ドゥらがいたテント、ゴブリンが寝ていたテント…そして…、もう一つのテントから、小さな篭を持って出て来た、長い銀髪をしている者が,口に巻いている布をとり笑みを見せた。
その笑みに布を取り大きく息を吐いて辺りを見渡していると、「アル…、これでおわりか?」とディレクの声が聞こえる。
その声にアル…、アルベルトは冷ややかな目を向けて、「あぁ。情報通りだ…、お疲れさん」と言葉にした。
「この子達ねぇ~」
小さな篭を持ってきた銀髪の女性…、テレニアが篭を開ける。
小枝で編まれている縦50センチ、横20センチ、高さ30センチほどのかごの中には、透き通った羽根を4枚、背中に生えさせている白髪の少女…で、耳が横に長く、身長20センチほどのモノが、篭の内側面に手を当て、踏ん張っている姿勢で女性を見ていた。
「うふふ…、あなたはなんていう名前なの?」とそのモノに聞く。
「…名を聞くなら、そちらから名乗るのが礼儀でしょう!」と小さな少女。
「あらぁ…そうね、ごめんなさい…わたしはテレニア…あなたに近い種族の者よ」と笑みを見せる。
「フン、見てわかるわ!背とおっぱいだけが大きな種族のエルフめ!」と訝しい表情を浮べた。
「そうね…、でも…これで、何処に行っても人気なのよ…」
「あぁ~そうかい!わたしもかわいいって言われているよ!」
アカンベェ~と目を指で下げ、舌を出して見せた。
「それは、小さいからでしょ…うふ。」
「…いぃ…やっぱ、エルフは嫌いだ!」
地団駄を踏む妖精。
「それで?あなたの名前わぁ?」
「…あたしはローリアよ…」
腕組みをしてみせる妖精。
「ローリアね…、よろしく…妖精さん」
大きく不敵な笑みを見せるテレニア…。
「妖精さんって言うなら、名前聞かなくてもいいじゃないか!」
再び地団駄を踏んで見せたローリア。
「漫才はそこらにしておけ…ったく…、で?」
アルベルトが篭をのぞき込んだ。
「…お前らは、これからどうしたいんだ?」
冷ややかな視線でローリアに聞いた。
「…げっ!冷ややかアル…」
「あ?俺を知っているのか?」
眉間に皺を寄せたアルベルト。
「…知るもなにも…隣の小人族の村のリッチと知り合いなんだろう…」
「あぁ…お前らは、あそこから来たのか…ちょっと遠いな…」
「妖精の木が倒されているから…また立てなきゃ…」
「…いや、俺たちは、これから至急『デルヘルム』に戻らなければならない…だから、お前らも連れて行く」
「えぇ~、なんで!なんで…よりにもよって…」
ローリアは篭の中で慌て始めた。
その姿を見て、「あぁ?なんでって…、おまえらここから自力で帰るつもりか?…そうなら、別に構わないが」
「あぁ~、やっぱり…冷ややかアルだ…鬼だ、悪魔だ…、言っていた通りだ…」
膝から崩れて、手を下につき、四つん這いの姿勢で項垂れたローリア。
「あぁ…、なんか面倒だな…捨てるか…」
冷ややかな視線で、四つん這いになっているローリアを見ながら言葉にする。
そのアルベルトを見上げて、「ごめんなさい…、もう…わがまま言いません…」と涙を流してみせる。
「…ってか、お前がやっている寸劇…意味がわからない。とにかく…俺たちは、夕方からちょっと殺人って言うゲームをするんだ、その時間に間に合わせるために『デルヘルム』に帰らなければならない…だから、お前たちは、ここから帰るならここで捨てるし、ついて来るなら連れて行く」
「食べない?」
「あぁ?なにを」
「私たち…を…」
「…ったく…なんだそれ、いつから俺達がお前らを食う種族になったんだ?」
「…違う…冷ややかアルは…小人族と妖精族を食べる…と聞いた。」
「あぁ?だれからだ…?」
冷ややかな視線をローリアへ向ける。
「リッチの服の袖から木の枝を入れて…火であぶっていた…って、見た人が言っていた…」
「…ったく……。あぁ、もしかして、リッチが池に落ちたのを助けて、そのまま乾かしていた時のか?……」
「わからん」
「…まぁ…面倒だ。とにかく、俺は肉食だが、お前らは食わん。行くのか、行かないのか。どっちだ」と冷ややかな視線をおくる。
その視線に、「…はい。連れて行って下さい」と土下座を始めたローリア。
「なら、最初からそう言え…ッチ」
アルベルトは、東の方に見える緑がうっそうと生えている森を見た。
「あとは…あっちもうまくやってくれればね…」とテレニア。
「あぁ…そうだな…」と冷ややかな視線で遠くを見つめていた。
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