第7話 まだ太陽が眩しい時間にタバコの煙がくゆる古臭いテキサスバーに入り浸って、賭けの代償を支払う


札束10枚でやめておけばよかったと思った。でも勝算はあったんだ。

他のメンバーも負ける方に賭けた。オレも、負ける方に賭けた。でも、奴は勝った。


奴が勝つ方に賭けていた男はオレともう一人の男に賭け金の清算を求めた。それが、札束60枚だ。

札束は誰にも取られないよう、切れないステーキナイフでテーブルに釘付けにされていた。

オレは渋々、清算を了承した。男も了承した。

勝ったもう一人の男はホクホク顔だ。痩せていて、神経質で、勝負事とは別のことを見て打算的で冷静に物事を決める男だ。

勝負に勝っても負けてもこの男はどうでもよかったのだろう。

オレと一緒に負ける方に賭けていた男は、元来賭け事が好きなタイプの豪快な中年男だった。勝負に勝っても負けても全力で楽しむタイプだ。もし今の賭けで負けても次の賭けでは絶対に負けない。そういう剛毅なところが、きっとこの男に運を授けているに違いない。

対するオレは?


勝っても負けても、手に入れられたのはその場の雰囲気に飲まれてリスクを背負ったその弱気なところ。

勝負事は好きじゃない。

この二人が、オレと仲良くなりたいと思ってオレを賭け事に誘ってくれたんだろうとは思っているが、オレはその勝負事に勝てたのだろうか。


貧乏性のオレは、ジョーカーのにやけ面がまさにオレを見て小馬鹿にしているように思えた。

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