悲しい妄想
外からエンジンの音が聴こえた。
ママが帰って来た。
21時38分。
最近、帰りが遅い ……どんどん遅くなる気がする。
凪紗さんのお店は19時まで …ママは18時で終わるはずなのに ……
・・・
タカさん …
どうしてママを迎えに来ないのかな ?
ママ、絶対待ってる。
ママがタカさんと離れて暮らすなんて、もともと無理な話。
三年前、仕事が忙しくてママの事を放置し続けたタカさんを懲らしめるために、ママはいきなりマンションを出た。
淋しがり屋のママは、放って
ママって結構面倒な性格なんだから ……
あの頃、優深がちょっと我儘言ったらママはすぐにキレた。
情緒不安定のママに何度も叩かれた。
でも、すぐに泣きながら謝ってくれた。
ママはそんな自分に耐えられなくなったのだと思う。
だから、いつもママの事を大事に見守ってくれるタイセーさんと華奈子さんのいるこの家に逃げ込んだ。
本当は離婚する気なんてなかったくせに、タカさんがぜんぜん迎えに来ないから、引くに引けなくなっちゃた。
タカさんがそういう事に鈍感なの知ってるくせに ……
ママってズルい女なんだよ …タカさん。
今、タカさんが迎えに来たら、ママは喜んでタカさんについていく気がするんだけどな。
もう優深もあの頃と違って、ママの空気読めるし ……
でも …そうなると
優深もこの家から出て行かなきゃならなくなる。
タイセーさんも華奈子さんもやっぱりショックかな ?
優深も二人と離れたくないな。
・・・そうか
タカさんがここで暮らせばいいんだ。
なあんて ……
悲しい妄想。
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