たぶん待ってるよ


「今日もスタメンか ?」


「うん 」


「打順 ……あがるだろ ?」


「・・・うん ……たぶん」


「6番か ?」


「・・・2番かも」


「ははっ、そりゃ悪くないラインナップだ」


「・・・」


「ん ?」


「腕 ……」


「ん ? ……あっこれか ? ……トシが気にする程のものじゃない」


「仕事で ?」


「まあ ……時にはこんな仕事もあるさ」


「・・・刑事 ……大変だね」


「トシの仕事ほどでもないさ ……ところで一つ頼みがあるんだが …… 」


「頼み ?」


「スマホ貸してくんねーか ? 電話したいんだが、これ使えないんだ」


「はい」


「悪いな。トシ急ぐだろ ? すぐに済ますから」


「いいけど、急ぐから貸しとくよ」


「えっ ?」


「タカさんのスマホが使えないなら、仕事、困るんじゃない ?」


「あいや、それじゃあトシが困るだろ ?」


「タカさんほど困らないよ。連絡が重要な仕事じゃないし ……必要な時は誰かに借りるし ……」


「今どきの子が ……普通スマホは人に貸さな ……」


「集合時間、ヤバいから行くよ」


「・・・あっああ ……出来るだけ早く返すから」


「うん、じゃあ」


「ああ、日本シリーズ頑張れな」


「まだ決まってないよ」


「トシが2番なら、今晩は勝つさ」


「・・・ははっ」


「んじゃ、車に気をつけろよ」


「うん ………………たぶん」


「・・・ん ? たぶん ?」


「祥華さん ……待ってるよ」


「・・・祥華 ?」


「タカさんの迎え」


「えっ !」


「じゃっ」


「・・・」



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