殺し屋
教授が元々置いてあった方のコンビニ袋からチーズバーガーを取り出した。
カウンターストゥールから降り、そのままソファにやって来て俺の向かいに腰を下ろす。
おもむろにハンバーガーを放ってきた。
「ひとつどうかね。まだ賞味期限は切れておらんよ」
そう言ってすぐに包みを開いて、バーガーにかぶりついた。
・・・歳のわりに美味そうに食うんだな
つられて紙包みを開いてみたが、胸くその悪い悪魔の話を聞いた後で、とてもそんな気にはなれなかった。
それに手錠に繋がれたまま持ったハンバーガー ……その絵が食欲を損ねさせている。
まだ、肝心な事を訊いていない。
「で ? あなたは ……あなたたちは、その完全無敵な悪魔をどうやって抹殺しようとしているのです ? 」
俺の質問に、教授は慌てたように咀嚼を繰り返し、大きく喉仏を動かした
「簡単な事です。悪魔が少女を監禁した。それを蓮見一族が、巻本と迫田を使って隠蔽する。その証拠を掴むだけの話です」
「そんな事が出来るのか。そんな簡単に尻尾を掴める相手なら ……」
「その為に正也が犠牲となり、迫田が蓮見の犬になったのです」
教授が半分ほどになったハンバーガーを放り出すようにテーブルに置いた。
「迫田は ……あっち側の人間じゃない ? えっ ? じゃあ袖原は ? えっ ? いったい誰が蓮見の犬で ……誰が敵なんだ ?」
「敵は千葉洋平という悪魔と、その犯罪を隠蔽しようとしているその一族、あとは巻本だけだ。いや、一族と言っても父親の千葉正利と妹の華子は隠蔽にはまったく関与していない。一族とは全て蓮見側、すなわち祖父の泰嗣、その私設秘書である長男の喬太郎、静岡県警本部長で次男の健一郎、刑事部長の巻本、洋平の母親である知遥、それと喬太郎が動かしている殺し屋がニ匹 ……敵は全部でこれだけだが、洋平の母親は2年前に病死している」
「殺し屋 ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます