頑張れ、俺

 

 祥華と呼吸を同化させるように、唇を軽く合わせたまま、左手で柔らかな髪を撫ぜた。

 右手は、髪以上に柔らかな繁みの上にのせていた。

 頼りないほどのわずかな繁み。


 祥華はずっと目を閉じている。

 しかし、リラックスはしているように見えた。

 俺の唇に当たる息も穏やかだ。

 わずかに甘い香り。


 ・・・苺サンドか

 

 なんて想像している内に消えてしまうほどの儚い香りだった。


 唇を軽く合わせたまま、頼りない繁みを撫ぜた。

 そのままゆっくりと右手を太腿の内側に滑らせていく。

 しなやかな太腿を、掌で膝の内側から脚の付け根まで往復させた。

 やっぱりモデルのような肢体だった。


「貴さん…ずいぶんと… 慣れてる ?」


 囁く息が口の中に入ってきた。


「・・・たぶん …平均点にも届いていない」


 そう答えると、目を閉じたまま鼻だけでクスッと笑った。


 信頼感…というか安心感が伝わって来るような“ クスッ ” だった。

 もう愛おしくて堪らない。


 祥華の両脚をさらに押し開き、その真ん中にゆっくりと手を差し入れた。

 祥華は小さく息を洩らしてしがみついて来た。

 柔らかい部分全体を4本の指で、しっとりと押すように撫ぜる。

 急に下腹部全体に熱を帯びだした。


 唇は軽く重ねたままで、指先での愛撫を優しく丁寧に続けた。

 徐々に指の本数を減らしていき、より中心部分に中指を侵入させていく。


 そこは十分過ぎるほどに溢れていた。

 花びらが熱かった。

 そしてたぶん…漲っている。

 不自然さを覚えるほどに、花びらが存在を主張していた。


 経験値の低い俺でもしっかりと、祥華の欲情が感じられた。

 これは紛れもなく俺を受け入れる準備。

 もうこれ以上の至福はない。

 

 祥華の両方の膝をゆっくりと持ち上げて、垂直に立たせた。

 祥華の胸の上で、左手の指を絡ませた。

 膝を大きく開かせて、脚の間に腰を入れた。

 

「祥華」 


 名を呼ぶと、閉じた目をわずかに微笑ませて小さく頷いた。


 ゆっくりと熱い先端を挿し込んだ。



 ・・・



 ・・・やはりか



 わずがな侵入で、大きな抵抗を感じた。


 途中からそんな気がしていた。


 まさか…が、もしかして…に変わり、かも知れないに至っていた。



 やはりだ。



 祥華は…



 初めてだった。



「大丈夫…」


 動きを止めた俺の耳元に、祥華のかすれた囁きが漏れた。



「…きて」


 俺はゆっくりと慎重に腰を沈めていった。


 抵抗は続いていた…



 祥華の表情は穏やかなままだった。



 ・・・少しずつ



 ・・・ゆっくりと



 ・・・少しずつ  ! !


 

 ・・・あっ !



 ズッと一気に半分ほど入った。


 俺は慌てて動きを止めて、祥華を見た。


 祥華の表情は変わらなかった。


 …いや、眉がハの字になってた。



「大丈夫…みたい」


 俺はそのままの状態で、祥華の中の苦痛を探った。

 


「ぜんぜん…平気…だから」


 祥華が初めて、俺と目を合わせて言った。


 俺はその目に頷いてから、静かに腰を沈めていった。



 熱い柔らかな壁がぎゅっと包み込んできた。


 ・・・



 二人で溶け合った、そう感じた。



 やはり動けなかった。


 動くと祥華を壊してしまう。


 本気でそう思った。



「貴さん、優し過ぎ…だから想像してたのと違ってた」 


「ん ?」


「だって痛みなんてまったく感じないほど幸せな気持ちだもん」


「・・・そっそうか」


「だから続けて」


 ・・・うー


「・・・今日はこのままがいい。続きは次回のお楽しみって事で…」


「ばかっ… 大好き !」


 祥華が晴れ晴れとした屈託のない表情で抱きついて来た。


 俺は祥華を包み込むように抱きしめて、優しく唇を合わせた。



 ・・・頑張れ、俺


 この時の俺は、俺自身の異常な興奮状態と、祥華の天使のような健気さと、予想以上の締めつけの強さで、イク寸前だったのだ。

 

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