第36話 カラスが怖いのは後頭部を狙ってくる急降下
酒宴の際に魔王と、拠点をどう作り上げていくか? という話をしたところ、怒涛の「お任せで!」といい笑顔で連呼されたのでこれからのプランを自分の中でも決めておこう。
ゴブリンの襲撃からそこそこの期間が経っているが、色々と種族が集まってきた事で居住空間の拡張は常に行っていて、そしてある程度のスペースの確保が終わったら、壁で仕切るようにして、向こう側で農業地帯と、それとはまた別に森林地帯の区画の製作をやっていこう。
そうなると、とにかく土の運送が必要になるな。居住スペースには土はそんなにいらないかな? その内、多数決を取って決めてもいいな。
あとは敵に侵入などを許さない為の門なども必要か。一時的にせよ、門を作って侵入され難い環境作りも大事だ。
「さて、今日も掘削続けるか……。それにしても、この鞄のおかげでホントに作業ペースが上がったなぁ。一人でも問題なく動けるし……」
掘ったら即座に収納するコツを見つけ、鞄の許容量限界まで収納して、石を積んでいくポイントに削った鉱石を出しサイズを調整して、とやっていたら、以前よりも格段に掘削作業は捗るようになった。
シーにもう一人で大丈夫だから狩猟班に加わってもいいよと言った時に、寂しそうな顔をされたので困った。
「それなら、狩猟でおいしい物を取ってきてくれると嬉しいな。頼んだよ」と頭を撫でさせてもらったら、手をがっしり握られ、やる気アピールしていたので、大丈夫だとは思う。
そんな訳で山の上からスコップで掘り、途中からつるはし、成型にハンマー。この作業を続けている。
一人で黙々とやっていると、寂しい。
今まではシーが定期的にお水をくれたりしたから、サボるタイミングを計りやすかったのだが。まさかこんな弊害が生まれるとは!
「ふう、少し休むか」
誰がいるでもないのに、そう呟く。
山頂で水筒の水を飲む。絶景の中で頂くというのは割と贅沢な事だと思う。
ん? 空に何か見える……?
「なんだろうあれ? あっ! UFOか!?」
異世界なんだUFOがいてもおかしくないぞ! アダムスキーか! アダムスキーなんだな!? もう一つは……、なんだっけ。
いや、UFOにしちゃなんか数多いな。
「鳥かな? モンスターだと怖いから避難しておこう。また怪我したくないし」
走り、身を隠せる場所まで急ぐ。
「よし、これでイダッ!」
避難場所までもう少しの所で何かに盛大に左肩を切り裂かれた。
後ろを振り返っても何も……いない。痛みの中心に手をやり、傷を確かめると、刃物で斬られたのかと間違えそうな程の流血により、右手が真っ赤に染まっている。
おいおいホラーか。かまいたちか? どちらにせよ山の上にいるのは危ない。
「やばい、早く逃げいったぁっ!!」
ころんと拳大の大きさの石が足元を転がっていた。
やばい、とにかく屋内に入ろう。ここにいたら確実に死ぬ!
左肩の傷はそこまで深くないみたいだ、広く浅く切れているから出血が多いのがまずい。止血はしたことないけど、ポッドのところへ急げば……。
その時、現代日本のテレビで見たある映像を思い出した。
何故その映像が脳に出てきたかはわからない、こちらの世界にやってきて、危ない目に遭い続けて狩られる小動物のような勘が鍛えられたからなのか。
その場で這いつくばりうつ伏せになった。瞬間、頭掠めて。その正体が発覚した。
「鳥かよ! やばい、さっきの飛行物体の仲間だったかもしれない!」
糞が! と悪態をつきながら走り、今度は背中を斬られる。衝撃で転ぶが、ここで止まってたらむしろやられる、走らないと!
最後には転がり込むように屋根のある避難所に入り込む事に成功した。
「よし、これでなんとかなるだろ……。ゲェッ!?」
見ると巨大な鳥の足が俺を追うように出入り口から入ってこようとしているのが見える。耳にはバサバサと翼で羽ばたくような大きな音が聞こえ、諦めていない事も伺えた。
「イツツ……、糞ッ、ここに避難しても逃げ道がないか」
常に携帯している、一番苦汁を舐めさせられ、だが一番窮地を助けてくれているかもしれないペトラの薬草汁を傷口にぶっかけておいた。
「うぐぐぐ!」恐ろしく染みる、流石ペトラ印! 今日も刺激的!
これで、何もしないよりマシだろう。後は……。
未だ諦めずに、入り口から足を伸ばしているこの脚、どうしてくれようか。
見れば見る程、凶悪だ。切っ先鋭い鉤爪には俺の血であろう液体がついている。なんか段々腹が立ってきた。
今持っている物は鞄と剣……。後は水筒と。
よし、今日の晩飯は焼き鳥だな。鳥じゃないかもしれないけど。
出入口の壁に体をつけて、剣を構え……ここだ!
確かな手応えと、出血が見えた! やった、どんなもんだ!
「いったぁい!」
えっ? 人の声?
出入口から顔を出していきなり攻撃されないよう警戒しながら、チラチラと外を見る。鳥……? 人か? 半人半鳥が足を押さえて転げまわっている。
「いたぁい! いたいよー!!」
甲高い泣き言が聞こえる。
体は小柄な人間だが、その手足が鳥の特徴を持っていて転がっている様を観察していると、その転がり倒れている奴が起き上がろうとして再度転んだ。
「うぐぐ、ぐすっ……、人間めぇ……、いたいよぅ……」
うーん、どうしよう。今ならあっさりやれるとは思うけど。
「ぐす、くそうくそう」
ああ、もう……。こっちもどうせポッドの所へ行くことになるんだからもういいか!
俺は非難していた場所から飛び出し、そいつの元に近寄った。
「おい、今からそれ治してやる。だからちょっと動くな!」
「人間! お前よくも!」
涙目の少女がこちらに跳びかかろうとするも、足で踏ん張れず転び、そして盛大に顔を打っている。痛そう……。
「ううう、痛いよお……」と呟いている目の前の奴に再度告げた。
「おい、痛い思いをしたくなかったら大人しくしろ。今から回復しに行くぞ」
そいつは視線をこちらに向けてきた。
「治してくれるの……!?」
「おう、治すよ。大人しくしてたらっていう約束が守れたら。どうする?」
そいつはうつぶせのまま再度顔を伏せ、唸っている。
そして再度視線をこちらに向けてくると。
「治せ! お前のせいでこうなったんだ! 治せ!」
「最初に手を出してきたのお前だろ……。まぁいいや、それじゃあ歩けそうにないな。これから運ぶけど、暴れるなよ? いいか? 絶対暴れるなよ!」
そいつをお姫様抱っこのようにして、持ち上げる。軽ッ!? おいおいなんだこいつちゃんと食ってるのか!?
「人間何するんだ! 下ろせよー!」
「歩けないんだから仕方ないだろ!? いいから大人しくしとけよ!」
ギャーギャー騒ぎながら、そいつを運ぶ為に階段を使って地上へ向かって歩き出す。
山の中に入ると、途端にそいつが大人しくなっている。
先程まで騒がしかったのに、どうしたんだろう? 却って不気味だ。いきなり首とか引っ掻かれたりしたらオシマイだぞ……?
立派な羽根に手のような爪、足の爪も鋭かったけど、手の方も負けじと鋭利な形をしている。不便そう。
「おい、どうした? 馬鹿に静かじゃないか、何かあったか?」
「む、今バカって言ったな!? バカって言う奴はバカなんだぞ!」
どうしよう、俺も確かにバカだけど、この子には負けてるバカだ。
「悪い悪い、それで? なんでそんなに静かなんだ?」
「ここ、敵がいた跡があった。危ない!」
敵? 何だろう敵って。
とりあえず中に入れば襲撃されないし、ここには俺に攻撃してくる奴もいないだろ。
「俺がいれば大丈夫だよ、むしろお前が攻撃してこないかの方が心配だ」
「何をー! 人間は殺すか、巣に持ち帰るか、どっちかにしろってかあさまが言ってたんだ!」
わかったわかったといい加減な相槌を打ち、ポッドの元へ急ぐ。
騒がしい子は元気に見えるが、鳥は確かすぐに出血の対応をしておかないとやばかったはず。俺の方も血は止まってるように思うが、怪我の様子を見てもらった方がいいだろう。
「ポッド、ちょっといいか!」
「おう、ホリ、どうしたんじゃ……何じゃそのハルピュイアは? どこから攫ってきたんじゃ? というかお主、また怪我しとるのう」
「ちょっと色々あったんだ、この子の足を見てやってくれるか? 俺の方もこの子の後でいいから頼む!」
ほいほい、と言うと彼は葉を揺らし木の根を伸ばし始めた。
いつも思うが、この木の根が伸びてくる様は某国民的アニメの虫の触手のようで面白い。怪我も治してくれるし、類似点が多いな。
くだらない事を考えていたら、木の根が翼人の少女の足に巻き付いて少し光を放ち始めている。これで大丈夫だろうか? 彼女は先程までの元気もなくなり、意識が朦朧としているようでぐったりとしている。かなりの出血をしていたし、急いでおいて正解だった。
「ホリ、お前も少し傷口を見せてみろ」と言われたので、その場で上着を脱ぎ傷を見せてみた。
「ふむ、ザックリとやられはしとるが深くはないの。すぐ治せるからそのまま待っとれ」
また別の木の根が現れて傷口の辺りにほのかな温かさを感じる。じんわりとした熱が心地良いのと、何とかなったという安堵で深く息を吐く。
「よかった、何とかなって。いつも悪いなポッド」
「悪いと思っとるならそろそろここら辺の土をいじってもらえるかの? 作物もそろそろ育てられる環境になっとる筈じゃから、何時までも酒宴の席にしておくのも勿体ないぞ?」
お、とうとうおじいちゃんの許可が下りた。
ソマの花のおかげでお腹も満たされ、土も復活するとはありがたい。
「ホントに? それなら少し考えてる事があるんだよね。といってもポッドの協力が必要かもしれないんだけどさ」
「ほう? 何をしようというんじゃ。っとその前に、そっちの娘さんの気が戻ったようじゃぞ」
お? そりゃよかった。
足に木の根が巻き付いて動けないだろうし、少し話をしておこうか。
「トレントだ! あれ!? ここどこだ!?」と意識がはっきりし始めた傍から元気というかなんというか……。
その少女が俺に気付き、敵対心を持った目を向けてくる。
「人間! 敵! やらないと!」
跳びかかろうとして、また顔を地面に打ち付けている。デジャブかな?
大の字で唸っているが、こうしてみると体の小ささとは対照的に大きな翼をしているな。羽根にも部位によって種類があったっけそういえば。
翼の内側は主に白く、外側の部分は茶色く羽根の先は黒い、しかも外側には綺麗な模様があり特徴的だ。猛禽類の翼に似ている。
人間の体の方はというと、まさに軽装。
上半身には水着のような物で大事な部分を隠しているだけだし、下はハーフパンツのような物を履いているだけ。
「おい、まだ怪我治ってないんだから大人しくしてろ。こっちだってお前にやられた傷治してもらってるんだから」
自分の足に巻き付いている木の根に気付き、指で突いたりとしているがこれで落ち着いて話が出来るかな?
「なあお前、何でこの辺にいるんだ? 住んでる所は近いのか?」
「少し遠くから飛んできた! 巣は潰された! 木に!」
渡り鳥かな? それにしては巣が潰されたってどういう事なんだろう。
どうして襲ってきたのかと聞いても無駄だろう。どうせ「人間だから!」で終わりだし。
「まぁいいか。それで? 仲間はいるのか? さっき空を飛んでる連中がいたけどそれかな?」
「そー、群れは次の巣を見つける為にまずここに向かって飛んできてる! ルゥシアは先にここに到着したんだ! 優秀だからな!」
そして俺を見つけて一人で襲い掛かってきたわけね。
「その群れはさっき見えたけど、ここに到着した感じではないな。何でだろう?」俺の疑問にはポッドが答えてくれた。
「ハルピュイアの群れなら今山の頂上におるぞ。先程降りているのが見えたわい。ホリも運がいいの。今頂上におって、あの群れが来とったら即座に殺されておるぞ」
それを聞いて、背筋が凍った。むしろこの少女が先に来ていなかったら俺死んでたのか! むしろありがとうって言っとくべきか!? いやでも、攻撃されたからノーカンという事にしておこう。
「助かったと素直に喜べないなぁ。酷い目に遭ったし」
「まぁ、これくらいの傷ならすぐ治しちゃる。安心せえ。水は用意しといておくれよ」
俺の方の怪我はもう大丈夫のようで、木の根が地中に戻っていった。
少女の足に巻き付いている根はまだかかりそうだ。今の内に飯にしておこう。
「おい、お前。腹減ってるか?」
「お前じゃない、ルゥシアだ! 腹は減ってるぞ人間!」
俺は持っていた鞄から、スライム君特製のサンドイッチが入った籠を取り出した。
今日の具はお肉と野菜。パンと野菜が食べれる幸せ……。ありがたい。
「俺も人間じゃない、ホリって呼んでくれ。これ食うか?」
「ほぁー……。食う!」
「ポッド、薬草汁はさっき傷にぶっかけちゃったからないんだ。水かけとくぞ」
「お前、あの薬草汁は植物にとって劇薬じゃぞ? まぁ最近はあの刺激が少し癖になっておるが……」
強炭酸にハマる人みたいな事を言い出した。
ポッドの作り出す木陰で、昼飯を頂く。
「うん、今日もうまいな。ありがとうスライム君」
「ウマーイ! これうまいな人間!」
「ホリ、ホリな? 覚えろよルゥシア……だっけ?」
「うん、ホリ!」
両手にサンドイッチを確保し、頬張っていく少女。
こうしてみるとあまり人間と変わらないな、髪は短くて茶髪、肌が少し焼けていて健康的だ。目立つのはやっぱり、手足が大きく違うのと、目が違う。
結膜は白いけど角膜が明るい黄色の色をしている。そして瞳孔が中央は黒く外側にいくほど茶色になっている。
大きな目をしているから、その鮮やかさがわかりやすい。
お弁当は一人分しかなかった為、すぐになくなってしまったのが悲しいのか、最後の一口を大事に咀嚼している。
「この子達は、巣を探してるって言ってたよな? ここに住むのはどうなんだろう?」
ルゥシアは首を傾げて、考えているが答えはすぐ出ないようだ。
ポッドが少し唸っている。
「難しいのう。こいつらの種族は穴倉に木や枝を持ち込み巣を作ったり、木の上に巣を作ったりする。木々の殆どないこの辺じゃと、選択肢にすらなりえん。せめてトレントがもう少しおりゃあな」
ん? どういう事だろう?
「トレントがいると何か変わるのか?」
「うむ。ハルピュイアはトレントの枝、特に若い子の枝の剪定をやってくれるんじゃ。その枝や葉を使い、巣を作ったり拡張したりしての。さっき見えた群れの数なら、若い子が何本かいればここら辺に巣を作って住めるようになると思うぞ」
おー、それは丁度いいぞ。
「それなら、あのゴブリンの王が生まれた辺りの森とか、いつも行っている森のトレントをここに植えようよ。さっき言った『ポッドの協力が必要』って言った奴。まぁ掘削が進んだらまた移動させると思うんだけど、取り敢えずって事で」
「ふむ、それならワシの方から森のトレントに話をつけておこう。前のようにモンスターの群れで面倒にならんとも言えん。ここの方が安全じゃろうし」
少しだけ、ここの安全性を認めてもらった事が嬉しいが今はそれどころではない。
植樹という訳ではないが、トレントとこの子達とが両方とも住みやすくなるなら好都合だ。
「という訳だけど、ルゥシアは……」
問題の種族である少女を見ると、大の字になって寝てる。
腹が満たされたのと、木陰で心地が良いからか? 涎たらして寝てる。腹立つなこいつ。
「まぁいいか、それじゃあポッド、他のトレントにそう言っておいてくれ。早速明日からやろうと思うんだけど。急すぎるかな?」
「いや、一晩あれば大丈夫じゃ。でもなホリよ。若いトレントでも体は立派なもんじゃ。それにあの子らは移動ができん。どうするんじゃ?」
「大丈夫、ケンタウロス達に頑張ってもらうからさ! あとはトレント達が少し我慢してくれればいいってだけかな?」
他力本願である。でも実際、彼らの健脚とパワーが無ければ実行不可能だし、ゴブリン達にも手伝ってもらおう。
ペイトンにもやってもらう事ができたな。少し忙しくなりそうだ。
「いよし、久々に掘削以外の事ができるぞ! やらなきゃいけないのはわかるんだけど、気が滅入るから他の事をやりながらやりたいし!」
「フォッフォ、何をするのか知らんが、楽しみじゃのう。そろそろそのハルピュイアの怪我も癒える。起こしてやるがいいぞ」
その言葉を聞き、見ると少女の足に巻き付いていた木の根が地中に戻っていく。
俺が斬りつけた怪我も治り、元の状態のように見えるがどうだろう?
出血もしてたし、寝かせておいた方がいいのかわからないから、一度起こして様子を見るか。
「おい、ルゥシア。ルゥシア起きろー」
ぺちぺち顔を叩いて起こす。目覚めていきなり襲われ爪の餌食にならないように、両足で翼……腕? を踏んでおく。自衛しないと危ないからだ。
「ん、んぁ……。ッ!? 人間! 敵!」
やっぱりか、少し頭が残念な子の行動を見せてくれるルゥシア。
「俺だよルゥシア。ホリだよホリ」
「ホリ! さっきのまた食べたい!」
起きてすぐ食欲が沸くとかすごいな。
襲われる事がなくなったと思うので、足をどかしておいた。
彼女は起き上がり、体調や足の怪我の様子を確認している。
「どうだ調子は? 怪我は治っているはずだけど。フラフラしたり、気分が悪いとかはない?」
「うーん、ない! 足も痛くないぞ!」
完治しているようだし、調子が悪いという事もなさそうで安心だ。
彼女に事情を説明したいけど、どうしようかなぁ。絶対忘れるだろこの子……。
「ルゥシア、一度群れに戻って、二回か三回太陽が昇る頃にまたここに戻ってこれるか? それまでに君達に少しは住みやすい巣みたいな物を作っておくけど」
「いいのか!? 二回か三回だね! 大丈夫だよ!」
どうしよう、不安だな……。何か思い出すキッカケがあれば……。
ああ、少し試しにやってみるか。
「ルゥシア、忘れないように約束できるなら、少し足を出せる?」
「? 約束できるよ! ほい!」
鞄から小さめの鉱石を出す。
ハンマーで一度潰して板状に伸ばした物を彼女の足に、目印のような物を作っておこう。動きを制限しないよう、かつ外れない場所にハンマーで軽く叩いて巻いてみた。
「もし忘れても、これを見たら思い出してね。『数日したらここに戻ってくる』んだ。重かったりしないかな?」
自分の足を眺めながら、ほぉーと息を漏らしている彼女。
「キレー、『すうじつしたらもどってくる』な! わかったよ!」
「よかった、腕輪……、足輪は邪魔じゃない? これみて思い出せるか?」
「大丈夫大丈夫!!」と言いながら羽ばたいて飛んで行ってしまった……。
慌ただしいなぁ。
空の彼方で彼女は仲間達と合流したようだ。ああしてみると、鳥にも様々な色があるんだな……。まぁ、もし約束忘れてもいつまた機会があるかはわからない。
トレントの運送頑張らないとだな。
「じゃあポッド、俺も戻るよ。連絡の方よろしくね」
「おうホリ、またトレントの事で迷惑をかけてしまうが、頼んだぞ」
ポッドと別れた後、拠点にいる全員に協力を要請したところ。
ケンタウロス達の大多数、リザードマンから数人、俺とゴブリンのメンバーで後日運送をやる手筈となった。
明日は少し忙しくなりそうだ。
気合を入れる為に今日は酒を飲もう! と言ったらスライム君がコップ一杯だけお酒をくれたのだが……。
「ホリ様、オ酒飲ムト大変デス。程々ニシテクダサイ」
あ、アリヤに怒られた!
どうやら前回の酒宴の席で、魔王とはしゃぎすぎたのがいけなかったらしい。
しばらくお酒は味わう程度にしておこう……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます