懐かしさと、誇りを胸に・・・
勝利だギューちゃん
第1話
「久しぶりだね」
女の子に声をかけられた。
とても、懐かしい・・・
「うん、また会ってくれるなんて、思わなかったよ」
「私は、気まぐれだからね。」
「でも、嬉しいよ。僕の事、覚えていてくれて・・・」
「忘れないよ。君は大切な人だもん」
嬉しかった。
その気持ちが・・・
「でも、君はすっかりおじさんだね」
「ああ、君とは歳の取り方が違う」
「確かにね」
女の子は、笑うだけだった。
「君は、変わらないね。あの頃のままだ」
「私は・・・だもん」
肝心なところが、聞きとれなかったが、僕にはわかった。
「ずっと見てたよ。君なりにがんばったんだね」
「でも、結局だめだったけどね」
「ううん。大切なのは、努力。私だけは認めるわ」
「ありがとう」
女の子の言葉に救われた。
「君は、独身だったんだね」
「ああ。君よりも素敵な女性には、出会えなかったよ」
「でも、子供はいるんでしょ?」
「養子だよ」
「知ってる」
何もかも、お見通しのようだ。
女の子は、鋭い。
人間も、そうでなくても・・・
「その養子の人は、知ってるんでしょ?」
「何を?」
「君が今日、死ぬってこと・・・」
「いや、教えてない」
「仲、いいの?」
「本意は知らないが、よくしてくれるよ」
そうう、養子とはいえ、出来過ぎている。
「じゃあ、そろそろ行く?未練はない」
「うん」
女の子は、僕の手を握る。
僕の魂は、体を離れた・・・
女の子は、天使。
なので、歳を取らない。
若い頃に、選択を迫られた。
「幾つで死ぬかを知りたい?」と・・・
僕は、YESと答えた。
未来はわからない方がいいかもしれない。
でも、わかっていれば、1日を大切にできる。
そう思った。
そして僕は、大切に生きたと胸を張れる。
生まれてきて良かった。
「ねえ、君は君に生まれてきて、幸せだった?」
「ああ、もちろん」
今日は、奇しくも養子である息子の結婚式。
雲の上から、幸せを祈ろう・・・
懐かしさと、誇りを胸に・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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