第6話今までなかった景色
――不思議だった。人と関わることを拒み続けたはずだったのに、信頼した人に裏切られるのが嫌で、大切な人がいなくなるのが嫌だったのに、今は他人と遊びに行くことを楽しみにしている自分がいる。そんな、ここ数年俺の中に存在しなかった感情のせいか、今日の授業は全く集中できなかった。帰宅すると、何となく携帯を確認した。すると、通知が来ていた。今回は、遊園地のグループからだった。グループのメンバーに挨拶をしていないことを思い出し、取り敢えず名前とよろしくとだけ送信する。すると、続々とよろしくと返信が来てどこかホッとした。
次の日の昼休みのことだった。
「紹介するね。ここにいる八人が遊園地に行くメンバーね。まず、一人づつ自己紹介しよう!」
「じゃあ、まず俺からな」
そう言うと、左右の髪を刈り上げた少し
「俺は、
「次、私いくね。私は、
髪を後ろでまとめた気の強そうな女子で、背が女子にしては高い方だ。
「じゃあ俺ね。俺は、
その名の通り背が高く180はあるだろうか、とにかく高い。
「私は、
綺麗な漆黒の長髪のおっとりとした女子だった。
「僕の番だね。僕は、
雰囲気は明るいが、特にこれといった特徴がない。彼を一言で言うなら、
「私は、戸部
ショートカットの良く似合う活発な女子だった。
「じゃあ、改めて戸成
とうとう自分の番が回ってきた。まともに自己紹介をするのなんて何年ぶりだろうか。今年の入学式後のホームルームでの自己紹介なんて、適当にしたのを思い出した。
「市埜
全員の自己紹介を終え、取り敢えず今日はお開きとなった。みんな良さそうな人で取り敢えず安心した。これが、今まで自分が拒み続けた世界なのだと知って、少し勿体ないことをしていたなと実感した。
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