2‐7

 ――奈緒が去った後の生徒会室では黙って揺り椅子を揺らす木村隼人と、同じく黙り込んで頬杖をつく高園悠真が沈黙の重たい空気を醸し出していた。


『……隼人。何考えてる?』

『色々。悠真は?』

『俺も色々、かな?』


悠真と隼人は互いの顔を見て笑う。


『黒いオーラ背負いやがって。怪しい顔してるぜ』

『たぶん俺と隼人、同じ事考えてるかも』

『だな』


 意味深に笑う二人についに我慢の限界を越えた晴が唸り声を上げた。


『あー! ったく! お前らは何なんだよ。二人で勝手に密談して話進めるなよ! おい、亮、このむっつりインテリ野郎な二人を何とかしろよ』

『気にするな。コイツらの脳ミソは俺らの理解越えてっから』


亮が笑いながら晴をなだめ、晴は憤慨しつつアイスを食べていた。


『晴と亮にも後でちゃんと説明してやるよ。ただ……なぁ隼人。引っかかる点はひとつだな』

『ああ。これはけっこう厄介かもしれねぇ』


 悠真と隼人は先ほどまで奈緒が座っていたソファーを見つめる。二人の視線の先に気付いた亮が椅子から身を乗り出した。


『隼人、それに悠真も。さっきのあの子の話で何に気付いたんだ? 俺と晴はお前らが何の話してるのかさっぱりなんだけど』

『まだハッキリとは言えねぇけど増田さんだけんだ』

『違う?』


亮は隼人の言葉を繰り返すも、首を傾げて晴と目を合わせた。


『まずデータの収集と分析。そして確実な証拠がいる。悪いが晴にも亮にも手伝ってもらうぞ。特に晴には場合によっては黒龍に働きかけしてもらうことになる』


悠真が晴に言う。黒龍こくりゅうは以前に晴が所属していた暴走族グループだ。


『黒龍もって……手伝うのはいいけど悠真も隼人も何する気だ?』

『強いて言えば。だろ? 隼人』


ニヤリと笑った悠真の笑みに答えるように隼人も口元を上げて笑った。

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