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晴と悠真の演奏を聴いた一週間後の放課後。中学時代の担任でサッカー部顧問の筒井教諭に会いに隼人は母校の中学を訪れた。
サッカー部の練習を見学させてもらい、ボールが地面を転がる光景に懐かしさを感じる。ボールが跳ねる音に身体がうずいた。
『先生、俺やっぱりサッカーが好きです』
『そうか。……なぁ木村。お前さえよければここでサッカーのコーチやってみないか?』
筒井教諭の突然の提案に隼人は驚く。
『もちろんお前はこれから大学受験も控えていて両立は大変だろう。でもたまにコーチとしてうちの奴等の面倒見てくれると俺も助かる。この歳で走って怒鳴っては身体がきつくてなぁ』
筒井は軽快に笑っていた。筒井教諭はまだ四十代の前半だ。隼人が中学の頃は彼に怒鳴られながら廊下を追いかけ回されたものだ。
『考えてみます』
隼人はそう答えた。
その後にサッカー部の中学生に混ざって久しぶりに味わうボールの感触を楽しんだ。やっぱりボールを追いかけてる時が一番自分らしくいられる。
夢にはならなくとも、サッカーは欠けてはならない大切なもの。
モヤモヤと視界を覆っていた霧の中に輝く虹が見える。虹の始まりに彼は立っている。
今はまだスタートライン。
虹の終わりには何が待っているのだろう。虹の終わりにはどんな景色が見えるのだろう……。
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