白痴


知らない匂いの箱のなか

夜の砂漠に不時着した


眩しいと思えるまで

君と水を掛け合って

二人砂まみれになって


月は白く輝く


嘔吐する僕を

君は好きだと言った

消えたくなる僕を

君は好きだと言い続けた


知らなかったのは

僕だ


僕はその日

月が白く輝くことを知った


だから僕は今も

ゲロを拾って晒す



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文の屑籠 松風 陽氷 @pessimist

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ